120 涪翁摩踵休祖卜瘤(尤韻・平) 42 三十七オモテ
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涪翁摩踵、休祖卜瘤。
(後漢書曰、涪翁者不知姓名、釣於涪水、因號涪翁、精於醫術、所治病不限貴賤、皆摩踵救之、而不求其報、甚為當代所重、 醫說曰、栁休祖者善卜筮、其妻病鼠瘤、積年不差、垂命、休祖遂卜、得頥之復、按、卦合得姓石人治之、當獲鼠而愈也、既而鄉里有奴姓石、能治此病、遂灸頭上三處、覺佳、俄有一鼠近前而伏、呼犬咋之、視鼠頭有三灸處、妻遂差、)
【訓み下し】
涪翁摩踵、休祖卜瘤。(涪翁は踵を摩(す)りへらし、休祖は瘤を卜(うらな)う。)
【『醫說』に引ける】『後漢書』に曰わく、「涪翁は、姓名を知らず。涪水に釣(つり)す。因って涪翁と號す。醫術に精(くわ)し。治する所の病は貴賤を限らず、皆な摩踵(身をすり減ら)して之を救い、而(しか)も其の報いを求めず。甚だ當代の重んずる所と為る」。
『醫說』に曰わく、「柳休祖なる者、卜筮(うらない)を善くす。其の妻 鼠瘤を病む。積年(長年)差(い)えず、命(死期)に垂(なんな)んとす。休祖 遂に卜す。頤の復に之くを得たり。卦を按ずるに、合(まさ)に姓の石なる人を得て之を治せしむべし。當に鼠を獲て愈ゆべし。既にして鄉里に奴有り、姓は石、能く此の病を治す。遂に頭上に灸すること三處、佳なることを覺ゆ。俄かに一鼠有り、前に近づいて伏す。犬を呼んで之を咋(か)ましむ。鼠の頭を視れば三灸處有り。妻 遂に差(い)ゆ」。
【注釋】
○涪翁:下文の註を参照。 ○摩踵:摩頂放踵。從頭頂到脚跟都擦傷了。形容不辭勞苦,不顧身體。『孟子』盡心上:「墨子兼愛,摩頂放踵利天下,為之」。/摩:兩物接觸後,來回擦動[rub;scrape]。消滅 [obliterate;die out]。通「磨」。/踵:腳後跟[heel]。 ○休祖:下文の註を参照。 ○卜:古人灼燒龜甲或牛骨,辨視其裂紋以推斷事情吉凶的行為。泛指一般預測吉凶的方法。預料、事先推斷 [predict]。 ○瘤:下文の註によれば「鼠瘤」のことだが、未詳。
○後漢書曰:『醫說』卷一・三皇歷代名醫・涪翁:「涪翁者,不知姓名,釣於涪水,因號涪翁。精於醫術,所治病不限貴賤,皆摩(一作「磨」)踵救之,而不求其報,甚為當代所重(『後漢書』)」。
○『後漢書』方術列傳下:「郭玉者,廣漢雒人也。初,有老父不知何出,常漁釣於涪水,因號涪翁。乞食人閒,見有疾者,時下針石,輒應時而效,乃著針經、診脈法傳於世。弟子程高尋求積年,翁乃授之。高亦隱跡不仕。玉少師事高,學方診六微之技,陰陰陽隱側之術」。
○釣:用餌引誘魚類或其他水生動物上鉤。 ○涪水:『漢書』地理志第八上/廣漢郡(P.1597):「廣漢郡……涪(應劭曰:「涪水出廣漢,南入漢」)」。 ○精:嫻熟、擅長。佳、最好。
○醫說曰:『醫說』卷六・漏・灸鼠漏:「柳休祖者,善卜筮。其妻病鼠瘤,積年不差,垂命。休祖遂卜,得頥之復,按卦合得姓石人治之,當獲鼠而愈也。既而鄉里有奴姓石,能治此病,遂灸頭上三處,覺佳,俄有一鼠,近〔一作「逕」〕前而伏呼,犬咋之,視鼠頭有三灸處,妻遂差(拾遺記)」。
○栁:「柳」の異体字。 ○卜筮:卜,以龜甲推斷吉凶。筮,以蓍草推斷吉凶。卜筮泛指占卜。/古時預測吉凶,用龜甲稱卜,用蓍草稱筮,合稱卜筮。 ○鼠瘤:未詳。鼠蹊部の瘤か。鼠瘻か。鼠瘻之名始見於《靈樞·寒熱篇》,以後歷代文獻多有記載,其疾病特點則是:引發頸部腋下處淋巴結慢性感染,致使人患上疾病。 ○積年:多年。累年。 ○差:病癒。通「瘥」。 ○垂命:生命垂危〔死に瀕する〕。 ○頥:「頤」の異体字。(27) ☶☳。山雷頤。 ○之:往。至、到。 ○復:(24) ☷☳。地雷復。 ○合:應該 [should]。 ○得姓石人:未詳。おそらく「山」から「地」にいくと「石」を得るという論理構成なのであろう。 ○既而:不久。 ○鄉里:家郷。同郷的人。 ○佳:美、好。善。 ○呼:招、喚。 ○咋:囓、咬。
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