卷中・八ウラ(692頁)
(6)痿症
歧伯曰色慾過度宗筋弛縱筋膜乾則筋急而攣
爲筋痿
【訓み下し】
歧伯の曰わく,「色慾 過度し,宗筋 弛縱し,筋膜 乾く則(とき)は,筋(すじ)急にして攣して筋痿を爲す。
【注釋】
○歧伯曰:『素問』痿論(44):「歧伯曰:……肝氣熱,則膽泄口苦筋膜乾,筋膜乾則筋急而攣,發為筋痿。……入房太甚,宗筋弛縱,發為筋痿」。
○脾氣熱則胃乾而渇肌肉不仁爲肉痿
【訓み下し】
○脾氣 熱する則(とき)は,胃 乾いて渇し,肌肉 不仁して肉痿を爲す。
【注釋】
◉『素問』痿論(44):「脾氣熱,則胃乾而渴,肌肉不仁,發為肉痿」。
卷中・九オモテ(693頁)
腎氣熱則腰脊不舉骨枯而髓減爲骨痿
【訓み下し】
腎氣 熱する則(とき)は,腰脊 舉がらず,骨 枯れて髓 減(げん)して骨痿を爲す」。
【注釋】
◉『素問』痿論(44):「腎氣熱,則腰脊不舉,骨枯而髓減,發為骨痿」。
○按痺
痿症近代合爲中風施治方故于世中風多予賣
治真中風見希大抵痺痿二症也然醫者以心不
考豈使免人夭殃
【訓み下し】
○按ずるに,痺痿の症,近代合(がっ)して中風(ちゅうぶ)と爲して,治方を施(ほどこ)す。故に世に中風多し。予(われ)治を賣るに,真中風,見ること希(まれ)なり。大抵 痺痿の二症なり。然るに醫者 心を以て考えず。豈に人をして夭殃を免れしめんや。
【注釋】
○中風:腦中風(腦出血與腦梗塞的統稱)。[apoplexy;have a stroke] 中醫病症名。多由腦血管栓塞或發生血栓、腦溢血等引起。初起時突然頭痛、眩暈。短時間內失去知覺。得病後身子偏癱或截癱,嚴重時即時死亡。/指外感風邪的病患。 ○真中風:病名。外中風邪而致的中風病。見『醫經溯洄集』中風辨。簡稱真中。與類中風之風從內生者不同。 ○心:思慮。思想、意念。 ○夭殃:猶夭歿。短命,早死。
○痿而身不仁手足偏小者先京骨[足外側大骨下赤白骨際陷中按而得之]中封[足內踝骨前一寸筋裏陷]絕骨[穴處出中風]淺刺
【訓み下し】
○痿して身 不仁,手足 偏小なる者は,先ず京骨[足の外側の大骨(ほね)の下(した),赤白(しゃくびゃく)骨際(こつさい)の陷中,按(お)して之を得(う)]・中封[足の內踝骨の前一寸,筋裏の陷]・絕骨[穴處 中風に出づ]淺く刺す。
【注釋】
★赤白骨際:『鍼灸聚英』などの京骨穴の説明によれば,「赤白肉際」の誤り。
★先:というからには,「後」「次」などがあるはず。『鍼灸甲乙経』を参考にすれば,「先ずは京骨,(その後に)中封と絶骨」というように理解するのであろう。
◉『鍼灸甲乙經』卷10・熱在五藏發痿第4:「痿厥,身體不仁,手足偏小,先取京骨,後取中封・絕骨皆寫之」。
◉『鍼灸聚英』京骨:「足外側大骨下,赤白肉際陷中,按而得之,小指本節後,大骨名京骨,其穴在骨下」。
◉『鍼灸聚英』中封:「(一名懸泉)足內踝骨前一寸,筋裏宛宛中」。
○胸中煩滿臂膊疼痛筋緩捉物不得內關肩𦞇曲池[内關掌後去腕二寸兩筋間]淺刺補之風市三里陽陵泉[穴處出上]深刺瀉之
【訓み下し】
○胸中 煩滿,臂膊 疼痛,筋(すじ)緩まり物を捉(と)って得ず,內關・肩𦞇(けんぐう)・曲池[内關は,掌後 腕(わん)を去ること二寸,兩筋の間(あいだ)]淺く刺して之を補う。風市・三里・陽陵泉[穴處 上に出づ]深く刺して之を瀉す
【注釋】
○肩𦞇:「肩髃」。
◉『鍼灸聚英』曲池:「胸中煩滿,臂膊疼痛,筋緩捉物不得,挽弓不開,屈伸難……」。
◉『鍼灸聚英』標幽賦:「胸滿腹痛刺內關」。攔江賦:「心胸之病內關擔」。
◉『鍼灸聚英』肩髃:「主中風手足不隨,偏風風瘓風𤸷風病,半身不遂,熱風肩中熱,頭不可回顧,肩臂疼痛,臂無力,手不可向頭,攣急……」。
◉『鍼灸聚英』雜病歌・風:「半身不遂患偏風,肩髃曲池列缺同。陽陵泉兮手三里,合谷絕骨丘墟中。環跳崑崙照海穴,風市三里委中攻,……中風肘攣內關突」。
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