2024年3月28日木曜日

鍼灸溯洄集 62 卷下(8)鼻

   卷下・七オモテ(739頁)

 (8)鼻[ビ]

鼻塞聲重流涕者肺感風寒也

  【訓み下し】

鼻塞がり聲重く流涕する者は,肺 風寒に感ず。

  【注釋】

 ◉『萬病回春』卷5・鼻病:「鼻塞聲重流涕者,肺感風寒也」。


○不聞香臭者肺經有風熱也

  【訓み下し】

○香臭を聞かずは,肺經に風熱有るなり。

  【注釋】

 ◉『萬病回春』卷5・鼻病:「鼻不聞香臭者,肺經有風熱也」。


○鼻淵者膽移熱於腦也

  【訓み下し】

○鼻淵は,膽 熱を腦に移す。

  【注釋】

 ○鼻淵:指鼻腔時流濁涕的病證。俗名腦漏。

 ◉『指南』病名彙考・鼻淵:「濁涕[ススバナ]多く出(いで)て止まらざるなり。氣厥論に出たり」。/すすばな:たれさがる鼻水。また、それをすすりこむようにすること。はなすすり。すすりばな。

 ◉『素問』氣厥論:「膽移熱於腦,則辛頞鼻淵。鼻淵者,濁涕下不止也」。

 ◉『病名彙解』:  https://kokusho.nijl.ac.jp/biblio/100232367/356?ln=ja

 ◉『萬病回春』卷5・鼻病:「鼻淵者,膽移熱於腦也」。


○鼻赤肺之血熱也

  【訓み下し】

○鼻赤く,肺の血熱なり。

  【注釋】

 ★鼻赤:「鼻赤きは」と訓んだ方が,わかりやすい。

 ◉『萬病回春』卷5・鼻病:「鼻赤者,熱血入肺,成酒齄鼻也」。

 ★酒齄鼻:古稱鼻赤,又名鼻齇、酒齇鼻、肺風瘡、肺風粉刺、赤鼻、鼻準紅赤。指鼻準發紅,久則呈紫黑色,甚者可延及鼻翼,皮膚變厚,鼻頭增大,表面隆起,高低不平,狀如贅疣的疾病。多由脾胃濕熱上熏於肺,血瘀凝結所致。


○鼻臭涕出曲差[神庭旁一寸半入髮際]上星[入前髮際一寸陷中]淺刺

  【訓み下し】

○鼻臭く涕(はなじる)出づるは,曲差[神庭の旁ら一寸半,髮際に入る]・上星[前髮際に入る一寸の陷中]淺く刺す。

  【注釋】

 ◉『鍼灸聚英』雑病歌・鼻口:「腦瀉鼻中臭涕出,曲差上星治有功」。


  卷下・七ウラ(740頁)

○鼻塞不利厲兌[足大指次指端去爪甲角]前谷[手小指外側本節前]臨泣[足小指次指本節後間陷]淺刺

  【訓み下し】

○鼻塞がり利せず,厲兌[足の大指の次の指の端(はし),爪の甲の角(かど)を去る]・前谷[手の小指の外の側(かたわら),本節(もとふし)の前]・臨泣[足の小指の次の指,本節(もとふし)後間(こうかん)の陷]淺く刺す。

  【注釋】

 ★臨泣:足の臨泣穴には鼻に関する主治の記載が見られないので,頭の臨泣穴の誤りであろう。

 ◉『鍼灸聚英』雑病歌・鼻口:「鼻塞上星臨泣燒,百會前谷厲兌高,通前通後共七穴,兼治合谷迎香焦」。

 ◉『神應經』鼻口部:「鼻塞:上星 臨泣 百會 前谷 厲兌 合谷 迎香」。

 ◉『鍼灸聚英』足少陽膽經・(頭)臨泣:「主,……惡寒鼻塞……」。

 ◉『鍼灸聚英』足少陽膽經・(足)臨泣に鼻関連の主治なし。


○鼻塞不聞香臭迎香[鼻孔旁五分]合谷[手大指次指岐骨間]淺刺

  【訓み下し】

○鼻塞がり香臭を聞かず,迎香(げいきょう)[鼻孔の旁ら五分]・合谷[手の大指の次指の岐骨(ちまたほね)の間]淺く刺す。

  【注釋】

 ◉『醫學入門』附雜病穴法:「鼻塞不聞香臭,鍼迎香、合谷」。

 ◉『鍼灸聚英』雑病歌・鼻口:「鼻塞上星臨泣燒,百會前谷厲兌高,通前通後共七穴,兼治合谷迎香焦」。

 ◉『鍼灸聚英』迎香:「主鼻塞不聞香臭……」。


○鼻痔流濁涕者大衝[足大指本節後二寸]合谷淺刺瀉

  【訓み下し】

○鼻痔,濁涕を流す者,大衝[足の大指の本節(もとふし)の後二寸]・合谷,淺く刺して瀉す。

  【注釋】

 ○鼻痔:鼻息肉[nasal polyp],病名。系指鼻中贅生肉瘤,閉塞孔竅,氣不宣通的病證。又名鼻痔、鼻瘜、鼻中息肉等。所謂息肉,有兩種解釋。『說文解字』:「息者,身外生之也」。這是認為鼻中贅生乃身外之物。『聖濟總錄』:「附著鼻間,生若贅瘡,有害於息,故名息肉」。

 ◉『病名彙解』:「『入門』に云,〈肺氣熱極,日久して凝濁,結して瘜肉をなし,棗(なつめ)の如く,鼻瓮[ハナノアナ]を滯塞すること甚しきものは,又鼻齆と名く〉。○按るに,是俗に云ハナタケなるべし。瘜肉のことにあらじ」。

 ◉『醫學入門』附雜病穴法:「鼻塞鼻痔及鼻淵,合谷太衝隨手努。……鼻痔鼻流濁涕者,瀉太衝、合谷」。

 ◉『醫學入門』卷3・臟腑條分・肺:「鼻齆鼻痔或成淵」注:「……鼻端紫紅粉刺,謂之鼻齄。內生瘜肉,謂之鼻痔,流涕不止,謂之鼻淵。皆上熱下虛也」。


○鼻淵息肉上星補

  【訓み下し】

○鼻淵,息肉,上星を補う。

  【注釋】

 ★上星補:語法としては「補上星」。

 ◉『醫學入門』附雜病穴法:「鼻淵鼻衄虛者,專補上星」。

 ◉『醫學入門』治病要穴・上星:「主鼻淵、鼻塞、瘜肉及頭風目疾」。

 ◉『鍼灸聚英』上星:「主……鼻中息肉,鼻塞頭痛……」。


○一切鼻病風門[二推下相去脊中各二寸]深刺

  【訓み下し】

○一切鼻病に,風門[二推の下(しも),脊中を相い去ること各二寸]深く刺す。

  【注釋】

 ◉『醫學入門』治病要穴・風門:「主易感風寒,咳嗽,痰血,鼻衄,一切鼻病」。

0 件のコメント:

コメントを投稿