2024年3月9日土曜日

鍼灸溯洄集 43 卷中(10)泄瀉

  卷中・十三オモテ(701頁)

(10)泄瀉

泄瀉者因脾胃虗弱飢寒飲食過或爲風寒暑濕

所傷

  【訓み下し】

  泄瀉(せつしゃ)

泄瀉(くだりはら)は,脾胃虛弱,飢寒飲食(いんしい)過ごすに因る,或いは風寒暑濕の爲に傷(やぶ)らる所なり。

  【注釋】

 ◉『萬病回春』卷3・泄瀉:「泄瀉之症,只因脾胃虛弱,饑寒飲食過度,或為風寒暑濕所傷,皆令泄瀉」。

 ◉『病名彙解』泄瀉:「俗に云,くだりはらなり。……」。

  https://kokusho.nijl.ac.jp/biblio/100232367/372?ln=ja


   ○寒泄者悠悠腹痛瀉無休止脉沉遲也

火瀉者腹中痛泄後去如湯後重如滯瀉下赤色

  卷中・十三ウラ(702頁)

小水短赤煩渇脉數也

  【訓み下し】

○寒泄は,悠悠腹痛み,瀉(くだ)り休(や)止(む)こと無し。脈 沉遲なり。火瀉は,腹中 痛み,泄(くだ)って後(のち)去ること湯(ゆ)の如し。後重(こうじゅう) 滯るが如し。瀉下(しゃげ) 赤色(あかく),小水(べん) 短赤(しやく),煩渇(はんかつ) 脈(みゃく)數(さく)なり。

  【注釋】

 ○寒泄:病證名。指脾胃寒盛所致之腹瀉。『靈樞』邪氣臟腑病形:「冬日重感於寒即泄」。劉宗素謂:「又有寒泄者,大腹滿而泄;又有鶩溏者,是寒泄也。」(『素問病機氣宜保命集』瀉論)

 ○悠悠:連綿不盡貌。動蕩;飄忽不定。

 ◉『萬病回春』卷3・泄瀉:「寒泄者悠悠腹痛瀉無休止,色青,脈沉遲是也。……火瀉者,腹中痛一陣,瀉一陣,後去如湯,後重如滯,瀉下赤色,小水短赤,煩渴脈數是也。(即火瀉也)」。


  卷中・十三ウラ(702頁)

○暑瀉者夏月暴瀉如水面垢脉虛也

  【訓み下し】

○暑瀉は,夏月 暴(にわ)かに瀉(くだ)り水の如し,面(おもて)垢(あか)つき,脈 虛なり。

  【注釋】

 ○暑瀉:病名。見『丹溪心法』泄瀉。又名暑泄。『證治要訣』卷八:「暑瀉,由胃感暑氣,或飲啖日中之所曬物,坐日中熱處,症状與熱瀉略同」。

 ◉『萬病回春』卷3・泄瀉:「暑瀉者,夏月暴瀉如水,面垢、脈虛、煩渴、自汗是也」。


○濕瀉者瀉水多而腹不痛腹雷鳴脉細

  【訓み下し】

○濕瀉は,瀉(くだ)ること水多くして腹 痛まず,腹雷(がらがら)と鳴り,脈 細(さい)。

  【注釋】

 ◉『萬病回春』卷3・泄瀉:「濕瀉者,瀉水多而腹不痛,腹響雷鳴,脈細是也」。

 ◉『病名彙解』濕瀉:「『入門』に云:濕瀉は水の傾(かたむけ)下か如く腸鳴,身重く腹疼(いたま)さるなり」。


○風泄者瀉而便帶清血脉浮弦

  【訓み下し】

○風泄(ふうしゃ)は,瀉(くだ)って便 清血を帶び,脈 浮弦。

  【注釋】

 ○風瀉:由風邪引起,兼有外感表證,以大便溏瀉或瀉下清水,頭脹,自汗,惡風為常見症的泄瀉證候。

 ◉『萬病回春』卷3・泄瀉:「風瀉者,瀉而便帶清血,脈浮弦是也」。

 ○「泄」は,引用元と添え仮名からすれば「瀉」字とすべきか。以下,おなじ。


○食積泄者腹痛甚而瀉瀉後痛减脉弦

  【訓み下し】

○食積泄(しょくしゃくしゃ)は,腹痛むこと甚だしうして瀉(くだ)り,瀉(くだ)って後(のち)痛み减り,脈 弦。

  【注釋】

 ○减:「減」の異体字。

 ○食積泄:病名。即傷食瀉。『不居集』泄瀉:「食積泄,泄下腐臭,噫氣作醋」。/食積泄瀉,病證名。飲食積滯傷脾所致的泄瀉。又稱傷食瀉、食瀉、積瀉。證見腹痛即瀉,瀉後即減,少頃復痛瀉,腹皮扛起,或成塊或成條,瀉下臭如敗卵(『症因脈治』卷四)。

 ◉『萬病回春』卷3・泄瀉:「食積瀉者,腹疼甚而瀉,瀉後痛減,脈弦是也」。


○痰瀉者或多或少或瀉或不瀉脉沉滑

  【訓み下し】

○痰瀉は,或いは多く或いは少なく,或いは瀉(くだ)り或いは瀉(くだ)らず,脈 沉滑。

  【注釋】

 ○痰瀉:病證名。即痰泄,一名痰積泄瀉。『醫學入門』卷五:「痰瀉,或瀉或不瀉,或多或少。此因痰留肺中,以致大腸不固」。瀉下物如白膠、或如蛋白狀,泄瀉時瀉時止、時輕時重,常兼有頭暈惡心,胸悶食減,腸鳴,苔微膩,脈弦滑。

 ◉『萬病回春』卷3・泄瀉:「痰瀉者,或多或少,或瀉或不瀉,脈沉滑是也」。


○虗瀉者飲食入胃即瀉水売不化脉㣲弱

  【訓み下し】

○虛瀉は,飲食(いんしい) 胃に入り,即ち水売(すいこく)【穀】を瀉(くだ)して化(こな)れず,脈 微弱。

  【注釋】

 ○「売」は「穀」の略字であろう。 ○「㣲」は「微」の異体字。

 ○虛瀉:病證名。因臟腑虛弱所致的泄瀉。見『醫學入門』卷五。又稱虛泄。多屬脾腎虛弱。症見睏倦無力,自汗,消瘦,大便溏泄清稀,甚至完谷不化,四肢清冷,脈多細弱。輕者屬脾,重者屬腎。

 ◉『萬病回春』卷3・泄瀉:「虛瀉者,飲食入胃即瀉,水穀不化,脈微弱是也」。


○脾瀉者食後到飽瀉去即寛脉細治法不同隨可用

  【訓み下し】

○脾瀉は,食後 到って飽(あ)くに,瀉(くだ)り去って即ち寛(ゆる)し,脈 細。

 治法(ぢほう)同じからず,隨って用ゆ可し。

  【注釋】

 ○脾瀉:病名。即脾泄。又名洞泄(見『醫學真傳』)。吳澄『不居集』謂:「脾瀉,腹脹滿,泄注,食即嘔吐」。/脾泄,病名。又名脾瀉。指飲食或寒濕傷脾,引致脾虛泄瀉。『難經』五十七難:「脾泄者,腹脹滿,泄注,食即嘔吐逆」。『丹溪心法』泄瀉:「老人奉養太過,飲食傷脾」。

 ◉『萬病回春』卷3・泄瀉:「脾瀉者,食後到飽,瀉後即寬,脈細是也」。


○泄瀉腹痛腸中雷鳴食不化中脘[臍上四寸]天樞[夾臍旁各二寸陷中]三里[膝下三寸]深刺

  【訓み下し】

○泄瀉は,腹痛み,腸中雷鳴,食 化(こな)れざるに,中脘[臍の上四寸]・天樞[臍の旁(かたわら)を夾(さしはさ)むこと各二寸陷中]・三里[膝の下(した)三寸]深く刺す。

  【注釋】

 ◉『鍼灸聚英』中脘:「主……先腹痛先瀉,……食飲不化……」。

 ◉『鍼灸聚英』天樞:「主奔豚,泄瀉,脹疝,赤白痢水痢不止,食不下,水腫腹脹腸鳴,……」。

 ◉『鍼灸聚英』三里:「『千金翼』云:主腹中寒,脹滿,腸中雷鳴,……腹痛,……久泄利,食不化……」。


○腸鳴卒痛泄利不欲食飲食不下不容[巨闕旁各三寸直四肋間]承滿[不容下一寸]深刺梁門[承滿下一寸]關門[梁門下一寸]淺刺

  【訓み下し】

○腸鳴り卒(にわ)かに痛み,泄利して食を欲(この)まず,飲食(いんしい)下らず,不容[巨闕の旁(かたわら)各三寸,直(ただ)ちに四肋の間(あいだ)]・承滿[不容の下(しも)一寸]深く刺す。梁門[承滿の下(しも)一寸]・關門[梁門の下(した)一寸]淺く刺す。

  【注釋】

 ◉『鍼灸聚英』不容:「幽門旁,相去各一寸五分,去中行任脈各三寸,上脘兩旁各一寸,直四肋間。……主……不嗜食,腹虛鳴,……」。

 ◉『醫學入門』不容:「平巨闕旁三寸,挺身取之」。

 ◉『鍼灸聚英』承滿:「不容下一寸,去中行各三寸。……主腸鳴腹脹,……食飲不下,……」。

 ◉『鍼灸聚英』關門:「梁門下一寸,去中行各三寸。……主……腸鳴卒痛,泄利,不欲食,……」。


  卷中・十四オモテ(703頁)

○泄利腹寒臍痛幽門[巨闕旁各五分]腹結[大橫下一寸三分去腹中行四寸半]深腹哀[日月下一寸五分]淺刺

  【訓み下し】

○泄利,腹寒(ひ)え臍痛むに,幽門[巨闕の旁(かたわら)各五分]・腹結[大橫の下一寸三分,腹の中行を去ること四寸半]深く,腹哀[日月の下(しも)一寸五分]淺く刺す。

  【注釋】

 ◉『鍼灸聚英』幽門:「夾巨闕兩旁各五分陷中。……主……洩利膿血,……」。

 ◉『鍼灸聚英』腹結:「十四經發揮云:大橫下一寸三分,去腹中行四寸半。……主咳逆,臍痛,腹寒瀉利,……」。

 ◉『鍼灸聚英』腹哀:「日月下一寸五分,去腹中行四寸半。……主寒中食不化,大便膿血」。 

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