歷代名醫蒙求釋音
卷之上
虙犧(古字上音伏下音羲)拯(音烝上聲救也)夭枉(不得天命而死也夭音妖上聲)
診(候脉也章忍切亦作𧧂)雒(音洛)嬖臣(愛幸曰嬖又寵也音閉)摯(音至)嘻(歎也音熈)
孱弱(力劣也上音潺)溲(小便也音搜)悍(猛悍音汗)亟(急也音棘又音氣)
扁鵲(上薄泫切)舄(履也音昔)癥(腹病也音徴)竘(駈雨切)疸(黃病也音旦)
百中(中音去聲)𦙍(羊晉切)綜(子宋切)愔(挹淫切)差(凢差字皆音釵去聲病除也本作瘥)
呻吟(上音申痛聲也)鏹(錢貫也居兩切)謇(音蹇)螫(蟲行毒也音釋)虺(蛇虺許偉切)齧(噬也五結切)惑以喪志(喪息
浪切失也惑女色而失志)洽(音狹)頠(五罪切)稽古(上音雞考也)嬰(音纓)瘵(病也則界切)
藪(音叟)惙(疲也陟劣切)脈(與脉同)大厲(鬼也)搏膺(槌胷也)
醫緩(下胡管切)膏肓(心下爲膏心上鬲下爲肓下音荒)鉉(玄上聲)
擣(與搗同)捩(練結切)塞門(塞滿也蘇側切)汶(音問)𱪝【氵+贑】(音贑)逆旅(客店也)
詰(溪吉切)緡(錢貫也音閩)華佗(上音去聲下音陀)謐(音密)
痹(濕病也必至切)眇(一目小也)揣(初委切)瘕(腹病也音加又音架)鋩(音亡)
褘(音揮)蹴(七宿切)餌(食也仍吏切)操篙(上七刀切)珽(他鼎切)
服膺(俯服其胷臆也)涪翁(上音縛謀切)甄(音真)庫狄(複姓)嶔(音欽)
彀(張弓也音勾去聲)堋(射堋音朋)韓伯休那(那餘語聲也音乃賀切)嫗(女老之稱衣遇切)
擠(音齏)砭(石針也府廉方驗二切)瘍(音揚)屏之(上音餅去也)
湩(乳汁也都勇切)瘰(音躶)靳(音斤上聲)懣(煩也音悶)水蛭(馬蟥也音質)
㽲(腹中急痛也音絞)倒仆(上音島下音赴又蒲北切仆前倒也)噆(音匝)
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【訓み下し】
『歷代名醫蒙求』釋音
卷の上
虙犧(古字,上の音は伏,下の音は羲。)
【注釋】 ○上音・下音:原本は縦書きであるので,上(の文字)=「虙」。下(の文字)=「犧」。
拯(音は烝,上聲,救うなり。)
夭枉(天命を得ずして死するなり。夭,音は妖,上聲。)
診(脉を候うなり。章忍の切(かえし)。亦た「𧧂」に作る。)
【注釋】 ○診:『廣韻』去聲・震・敶:「直刃切……。診:𠋫脉。又之忍切」。『康熙字典』:「【廣韻】章忍切」。 ○作:寫成;寫為(多用於校勘和辭書)。
雒(音は洛。)
嬖臣(愛幸を嬖と曰う。又た寵(いつく)しむなり。音は閉。)
【注釋】 ○嬖:『廣韻』去聲・霽・閉:「嬖:『說文』:便嬖,愛也」。 ○愛幸:為帝王所喜好、寵愛。出身卑微而受寵幸之人。『集韻』去聲・寘・臂:「嬖:賤而得幸曰嬖」。『左傳』成公十七年:「晉厲公侈,多外嬖」。杜預注:「外嬖,愛幸大夫」。
摯(音は至。)
嘻(歎くなり。音は熈。)
【注釋】 ○嘻:『廣韻』上平聲・之・僖:「嘻:噫嘻,歎也」。 ○熈:「熙」の異体字。
孱弱(力劣るなり。上の音は潺。)
溲(小便なり。音は搜。)
悍(猛悍,音は汗。)
亟(急なり。音は棘。又た音は氣。)
扁鵲(上,薄泫の切(かえし)。)
舄(履なり。音は昔。)
【注釋】 ○舄:『廣韻』入聲・藥・昔:「舄:履也」。
癥(腹の病いなり。音は徴。)
【注釋】 ○『廣韻』下平聲・蒸・徵:「癥:腹病」。 ○徴:「徵」の異体字。
竘(駈雨の切(かえし)。)
【注釋】 ○『廣韻』上聲・厚・口:「竘:健也。又驅甫切」。 ○駈:「驅」の異体字。/「雨(yǔ)」:「甫」の誤りか。竘(jǔ)と韻母は合っているかも知れないが,反切下字としては,使われないと思われる。
疸(黃ばむ病いなり。音は旦。)
【注釋】 ○疸:『說文解字』:「黃病也」。
百中(中,音は去聲。)
𦙍(羊晉の切(かえし)。)
【注釋】 ○𦙍:「胤」の闕筆字。『廣韻』去聲・震・𦙍:「𦙍:繼也,嗣也,亦姓。羊晉切」。
綜(子宋の切(かえし)。)
愔(挹淫の切(かえし)。)
差(凢(およ)そ「差」字,皆な音は釵,去聲。病い除かるなり。本(ほん)「瘥」に作る。)
【注釋】 ○差:『廣韻』去聲・卦・差:「差,病除也」。 ○凢:「凡」の異体字。 ○皆:「差」字には,現在も6種類の読音がある。 ○本:「ある本」。一本。底本とは別の本。
呻吟(上の音は申,痛む聲なり。)
鏹(錢貫なり。居兩の切(かえし)。)
【注釋】 ○鏹:『廣韻』上聲・養・繈:「繈:絲有纇。又孟康曰:繈,錢貫也。俗作〈鏹〉。居兩切」。/『漢書』食貨志下:「臧繈千萬」。孟康曰:「繈,錢貫也」。顏師古曰:「孟說是也。繈音居兩反。」 ○錢貫:穿錢的繩子。指成串的錢。
謇(音は蹇。)
螫(蟲 毒を行なうなり。音は釋。)
【注釋】 ○螫:『說文解字』:「蟲行毒也」。
虺(蛇虺,許偉の切(かえし)。)
【注釋】 ○虺:『廣韻』上聲・尾・虺:「虺:蛇虺。許偉切」。
齧(噬なり。五結の切(かえし)。)
【注釋】 ○齧:『廣韻』入聲・屑・齧:「齧:噬也,亦姓。『莊子』有齧缺。五結切」。
惑以喪志(喪,息浪の切(かえし),失うなり。女色に惑って志を失う。)
【注釋】 ○惑以喪志:『春秋左傳』昭公元年:「晉侯求醫於秦,秦伯使醫和視之,曰:疾不可為也,是謂近女室,疾如蠱,非鬼非食,惑以喪志」。注:「惑女色而失志。○喪,息浪反」。疏:「淫於女色情性惑亂,以喪失志意也」。
洽(音は狹。)
頠(五罪の切(かえし)。)
【注釋】 ○頠:『廣韻』上聲・賄・頠:「頠:頭也,一曰閑習。五罪切」。
稽古(上音は雞,考うるなり。)
【注釋】 ○稽:『廣韻』上平聲・齊・雞:「稽:考也」。
嬰(音は纓。)
瘵(病いなり。則界の切(かえし)。)
【注釋】 ○瘵:『說文解字』:「病也。从疒祭聲。側介切」。『廣韻』去聲・怪・瘵:「瘵:病也。側界切」。『集韻』瘵:「側界切。『說文解字』:病也」。/「則」は「側」の誤りか。
藪(音は叟。)
惙(疲るるなり。陟劣の切(かえし)。)
【注釋】 ○惙:『廣韻』入聲・薛・輟:「陟劣切……。惙:疲也,憂也」。
脈(「脉」と同じ。)
大厲(鬼なり。)
【注釋】 ○厲:『春秋左氏傳』成公十年:「晉侯夢大厲」。注:「厲,鬼也」。
搏膺(胷を槌(う)つなり。)
【注釋】 ○槌:敲打。通「捶」。 ○胷:「胸」の異体字。
醫緩(下は胡管の切(かえし)。)
【注釋】 ○緩:『廣韻』上聲・緩・緩:「緩:舒也,又虜姓。緩稽氏,後改爲緩氏。胡管切」。
膏肓(心下を膏と爲し,心の上・鬲の下を肓と爲す。下の音は荒。)
【注釋】 ○厲:『春秋左氏傳』成公十年:「居肓之上膏之下,若我何」。注:「肓,鬲也。心下為膏。○……肓,徐音荒。『說文』云:心下鬲上也。鬲音革」。『說文解字』肓:「心上鬲下也」。『說文解字注』肓:「心下鬲上也。〈下〉〈上〉各本互譌。篇、韵同。今依『左傳音義』正」。
鉉(玄,上聲。)
擣(搗と同じ。)
【注釋】 ○搗:撞擊。捶打。
捩(練結の切(かえし)。)
【注釋】 ○捩:『廣韻』入聲・屑・𥸸:「𥸸:……練結切。……捩:拗捩出『玉篇』」。
塞門(塞,滿なり。蘇側の切(かえし)。)
【注釋】 ○塞:『廣韻』入聲・德・塞:「塞:滿也,窒也,隔也,蘇則切,又蘇載切,五」。/「蘇側切」は「蘇則切」の誤りか。
汶(音は問。)
𱪝【氵+贑】(音は贑。)
逆旅(客店なり。)
【注釋】 ○客店:客舍、旅館。規模較小的普通旅店。
詰(溪吉の切(かえし)。)
【注釋】 ○詰:『廣韻』入聲・質・詰:「詰:問也,責讓也。去吉切」。『集韻』卷九:「詰:喫吉切。『說文』:問也」。
緡(錢貫なり。音は閩。)
【注釋】 ○緡:『廣韻』上平聲・眞・珉:「緡:錢貫,亦絲緒釣魚綸也」。 ○錢貫:穿錢的繩子。指成串的錢。
華佗(上の音は去聲。下の音は陀。)
謐(音は密。)
痹(濕の病なり。必至の切(かえし)。)
【注釋】 ○痹:『說文解字』痹:「溼病也。从疒𢌿聲。必至切」。
眇(一目小さきなり。)
【注釋】 ○眇:『說文解字』眇:「一目小也。从目从少,少亦聲」。
揣(初委の切(かえし)。)
【注釋】 ○揣:『廣韻』上聲・紙・揣:「揣:度也,試也,量也,除也,初委切,又丁果切」。
瘕(腹病なり。音は加,又た音は架。)
【注釋】 ○瘕:『廣韻』去聲・禡・駕:「瘕:腹病」。
鋩(音は亡。)
褘(音は揮。)
蹴(七宿の切(かえし)。)
【注釋】 ○蹴:『廣韻』入聲・屋・鼀:「七宿切。……蹴:蹋蹴」。
餌(食なり。仍吏の切(かえし)。)
【注釋】 ○餌:『廣韻』去聲・志・餌:「餌:食也。『說文』:粉餠也。仍吏切」。
操篙(上は七刀の切(かえし)。)
【注釋】 ○操:『廣韻』下平聲・豪・操:「操:操持。七刀切,又七到切」。『廣韻』去聲・号・操:「操:持也,又志操。七到切,又七刀切」。
珽(他鼎の切(かえし)。)
【注釋】 ○珽:『廣韻』上聲・迥・珽:「珽:名。『說文』曰:大圭長三尺抒上終葵首。他鼎切」。
服膺(其の胷臆に俯服するなり。)
【注釋】 ○服膺:『漢書』東方朔傳:「服膺而不釋」。師古曰:「服膺,俯服其胸臆也」。 ○俯服:俯首帖服。 ○胷臆:胸部。心中的想法。內心;心中所藏。胸襟。胸懷、氣度。/胷:「胸」の異体字。 ○
涪翁(上音は縛謀の切(かえし)。)
【注釋】 ○涪:『廣韻』下平聲・尤・浮:「縛謀切。……涪:水名在巴西」。
甄(音は真。)
庫狄(複姓。)
嶔(音は欽。)
彀(弓を張るなり。音は勾,去聲。)
【注釋】 ○彀:『說文解字』弓部:「彀,張弩也」。『史記』張釋之馮唐列傳第四十二:「彀騎萬三千」。【索隱】如淳云:「彀音構。彀騎,張弓之騎也」。
堋(射の堋(あずち)。音は朋。)
【注釋】 ○堋:『廣韻』下平聲・登・朋:「堋:射堋」。弓場で、的をかけるために、土または細かい川砂を土手のように固めた盛り土。〔デジタル大辞泉〕
韓伯休那(那,餘語聲なり。音は乃賀の切(かえし)。)
【注釋】 ○那:『廣韻』去聲・箇・奈:「奴箇切,又奴帶切,二。那:語助。又奴哥切」。
嫗(女老の稱。衣遇の切(かえし)。)
【注釋】 ○嫗:『廣韻』去聲・遇・嫗:「嫗:老嫗也。衣遇切」。/『廣韻』上聲・晧・襖:「媪:女老稱」。
擠(音は齏。)
砭(石針なり。府廉・方驗,二つの切(かえし)。)
【注釋】 ○砭:『廣韻』去聲・豔・窆:「方驗切,又方亘切,二。砭:石針。『說文』曰:以石刺病也。又甫兼切」。
瘍(音は揚。)
屏之(上音は餅,去るなり。)
湩(乳汁なり。都勇の切(かえし)。)
【注釋】 ○湩:『廣韻』去聲・登・用:「湩:乳汁。竹用切,又都貢切,三」。
瘰(音躶。)
【注釋】 ○瘰:『廣韻』上聲・果・裸:「裸:赤體。『說文』曰:袒也。郎果切,九。躶:並上同。……瘰:瘰𤻤病筋結也」。
靳(音は斤,上聲。)
懣(煩なり。音は悶。)
水蛭(馬蟥なり。音は質。)
【注釋】 ○水蛭:動物名。環形動物蛭綱。體長扁,色黑綠,尾端及胸腹面各有一個吸盤。生於池沼或水田中,好吸食人畜的血液。也稱為「馬鱉」、「螞蝗」、「螞蟥」。
㽲(腹中急痛なり。音は絞。)
倒仆(上の音は島。下の音は赴。又た蒲北の切(かえし)。仆,前に倒るるなり。)
【注釋】 ○仆:『廣韻』去聲・宥・副:「仆:前倒」。
噆(音は匝。)
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