2025年10月13日月曜日

『歷代名醫蒙求』100-2

    名醫録李王女公主患喉內癰毒飲食不

    下召到醫官言須針刀開方得潰破公主

    聞用針刀大哭不肯治忽有一草澤醫人

    云某不使針刀只將筆頭蘸藥癰上霎

    時便潰公主喜遂令治之王言果愈當補

    翰林醫官仍酬三百千方兩次上藥遂潰

    出膿血一盞餘便覺兩日無事遂酬謝補

    官訖令供其方醫者乃請罪云某乃以針

    繫筆心中遂輕輕劃破其潰散耳無此方

    王遂赦之言醫者意也以意取効耳

    

  【訓み下し】100-2

    『名醫錄』:李王女公主 喉內の癰毒を患う。飲食下らず。召して醫官を到らしむ。針刀を須(もち)いて開かば,方(まさ)に潰(つい)え破るを得んと言う。公主 針刀を用いると聞いて,大いに哭きて,治するを肯ぜず。忽ち一草澤の醫人有り。「某(それがし)針刀を使わず,只だ筆頭を將(もち)いて藥を癰の上に蘸(ひた)すのみ。霎時に便ち潰ゆ」と云う。公主喜ぶ。遂に之を治せしむ。王言う,「果して愈ゆれば,當に翰林醫官に補すべし。仍お三百千を酬ゆ」,と。方(まさ)に兩次 藥を上(ぬ)る。遂に潰えて膿血を出だすこと一盞(さかずき)餘り。便ち兩日事無きを覺ゆ。遂に酬謝し官に補し訖(お)わり,其の方を供せしむ。醫者乃ち罪を請いて云う,「某(それがし)乃ち針を以て筆心の中に繫(つな)ぎ/繫(か)け,遂に輕輕として劃(さ)き破り,其れ潰え散るのみ。此の方無し」。王 遂に之を赦す。醫なる者は意なりと言うなり。意を以て效を取るのみ。

    

  【注釋】100-2

 ○名醫録:008-1を参照。 ○王女:帝王的女兒。古時封王者之女。『醫說』に「女」字なし。 ○公主:帝王、諸侯之女的稱號。天子或國王的女兒。 ○癰:病證名。多種瘡毒的泛稱。具體的指屬於瘡面淺,局部有紅、腫、焮熱、疼痛,皮膚光澤而薄,分泌液粘稠或有腥臭味等陽性類型的瘡毒,後世稱為「外癰」。還有發於臟腑的如肺癰、腸癰,後世稱為「內癰」。『諸病源候論』卷三十三に內癰候あり。/ここでは「喉內の癰毒」と解した。 ○飲食:指飲料和食品。 ○下:由高至低、降落。 ○醫官:古代掌管醫藥政令的官吏。 ○須:用。 ○針刀:鋒鍼(三稜鍼)のようなものか。 ○哭:因傷心或激動而流淚,甚至發出悲聲。 ○不肯:不同意、不答應。 ○忽:突然。 ○草澤:草野;民間。在野之士;平民。【草澤醫】江湖醫生。 ○醫人:醫生。 ○某:我,自稱之詞。 ○將:拿、持。把。以、用。 ○筆頭:筆尖、筆端。筆上用以書寫的部分。 ○蘸:把東西沾上液體或黏附其他物質。 ○霎時:片刻,一會兒。極短的時間。 ○果:假若、若是。確實、的確。 ○愈:病情好轉。痊愈。 ○補:填入空缺的職位、名次等。 ○翰林醫官:宋醫官階官名。高宗紹興(1131~1162年)時,於原醫官十四階,續增八階,翰林醫官為第十五階。 ○仍:依然、還。於是、因此。 ○酬:贈與。 ○三百千:30万(錢)。 ○上藥:塗抹藥品。/上:進呈。たてまつる。 ○盞:小而淺的杯子。量詞。計算燈或飲料的單位。 ○無事:沒有變故。 ○酬謝:贈送禮物以表示謝意;報謝。 ○補官:補授官職。 ○訖:終止、斷絕。至、到。 ○供:給予。如:「提供」。 ○方:治病的藥單、配藥的單子。如:「藥方」、「祕方」、「處方」。 ○請罪:自認有罪過,請求處分;道歉。承認己過,自請處分。 ○繫:聯綴;連接。懸掛、牽掛。 ○筆心:毛筆筆頭的中心鋒毛所在。 ○輕輕:動作細小、小心。[lightly]∶用很少力量或壓力地。[gently]∶温和地;温柔地。 ○劃:分開、分界。用刀子或其他利器從物體表面拖拉而過。擦掠。 ○無此方:『醫說』作「別無方」。 ○赦:寬免應得的刑罰。 ○醫者意也:医術は、思慮と工夫とによって会得するもので、口先の説明や著書などによっては、悟り得ないものである。『ことわざを知る辞典』/『舊唐書』列傳第一百四十一 方伎/許胤宗:「胤宗曰:醫者,意也,在人思慮。又脈候幽微,苦其難別,意之所解,口莫能宣」。 ○意:意思。見解、看法。情感。內心、胸襟。 ○取効:收效。/効:「效」の異体字。 ○耳:位於句末,表限制的意思。相當於「而已」、「罷了」。

     ○『醫說』卷二・鍼灸・筆鍼破癰:「李王公主患喉癰數日,痛腫,飲食不下。纔召到醫官,言須鍼刀開,方得潰破。公主聞用鍼刀,哭不肯治。痛逼,水穀不入。忽有一草澤醫,曰:某不使鍼刀,只用筆頭蘸藥癰上,霎時便潰。公主喜,遂令召之。方兩次上藥,遂潰出膿血一盞餘,便寬。兩日瘡無事。令傳〔一本作「供」〕其方。醫云,乃以鍼繫筆心中,輕輕劃破,其潰散爾,別無方。言醫者意也,以意取效爾(『名醫錄』)」。

    ★『神秘名医录』中「医工以笔头蘸药治公主喉痈」条:“李王女公主患喉内痈毒,数日肿痛,饮食不下,才召到医官,言须针刀开,方得溃破。公主闻用针刀,大哭不肯治。痛逼,水谷不入。忽有一草泽医人云:‘某不使针刀,只将笔头蘸药痈上,霎时便溃。’公主喜,遂令治之。王言果当补翰林医官,仍酬三百千。方两次上药,遂溃出脓血一盏余便宽。两日,疮无事,遂酬谢补官讫,令供其方。医者乃谢罪云:‘某乃以针系笔心中,遂轻轻划破耳,其溃散,无此方。’王遂赦之。医工自云:‘凡所医者意也,以意取效耳。’”

     ○吳崑『醫方考』卷五・喉閉第五十四・筆鍼:『名醫錄』云:李王公主患喉癰,數日痛腫,飲食不下。召到醫官,盡言須用刀鍼潰破。公主聞用刀鍼,哭不肯治。痛迫,水穀不入,忽有一草澤醫曰:某不用刀鍼,只用筆頭蘸藥癰上,霎時便潰。公主喜,令召之。方兩次上藥,遂潰出膿血一盞餘,便寬,兩日瘡無事。令供其方,醫云:乃以鍼繫筆心中,輕輕劃破而潰之爾,他無方也。

    

識典古籍*******************************************************

名醫錄:李王女公主,患喉内癰毒,飲食不下。召到醫官,言須針刀開,方得潰破。

    【AI譯文】

『名医录』记载:李王的女儿公主,患了喉内痈毒,无法进食。召来医官,医官说必须用针刀割开,才能让(脓疮之类的)破溃。

    【AI 1】『名医録』には次のように記されています。李王の娘である公主が、喉の中に痈毒を患い、食事ができなくなった。宮廷医官を召すと、医官は「針や刀を使って切開し、膿を破裂させる必要があります」と診断した。

    【AI 2】『名医録』によれば――李王の娘である公主が、喉の中に腫れ物(痈毒)を患い、食事もできなくなった。医官が召され診察したところ、「針や刀で切開しなければ、膿を出すことはできません」と言った。

公主聞用針刀,大哭,不肯治。

    【AI譯文】

公主听说要用刀针治疗,大哭起来,不肯接受治疗。

    【AI 1】しかし、公主はその治療方法を聞くと恐れて泣き出し、どうしても受け入れることができなかった。

    【AI 2】しかし、公主は針や刀で治療すると聞いて大泣きし、どうしても治療を受けようとしなかった。

忽有一草澤醫人云:某不使針刀,只將筆頭蘸藥癰上,霎時便潰。

    【AI譯文】

忽然有一个民间医生说:‘我不用刀针,只要用笔头蘸药涂抹在痈上,很快痈就会溃烂。’

    【AI 1】すると、突然、一人の民間医師が現れ、「私は針や刀を使いません。ただ筆の先に薬をつけて痈に塗るだけで、すぐに膿が破裂します」と言った。

    【AI 2】そこへ一人の民間医師が現れ、「私は針や刀を使わず、筆の先に薬をつけて患部に塗るだけで、すぐに腫れが破れて膿が出てきます」と言った。

公主喜,遂令治之。

    【AI譯文】

公主很高兴,就命令他去治疗。

    【AI 1】公主はそれを聞いて喜び、その医師に治療を命じた。

    【AI 2】公主はそれを聞いて大いに喜び、すぐに治療を命じた。

王言:果愈,當補翰林醫官,仍酬三百千。

    【AI譯文】

皇帝说:“如果病情痊愈,应当补任翰林医官,还会奖赏三百千钱。”

    【AI 1】皇帝は「もしこの治療で公主が回復すれば、翰林医官に任命し、さらに三百千銭の賞を与えよう」と述べた。

    【AI 2】皇帝は、「もしこれで病が治れば、翰林医官に登用し、あわせて三百千銭を褒美として与える」と約束した。

方兩次上藥,遂潰出膿血一盞餘,便覺兩日無事。

    【AI譯文】

才敷了两次药,伤口就溃破流出了一盏多脓血,顿时觉得两天都没有事了。

    【AI 1】医師が二度薬を塗ると、傷口が破れ、大量の膿血が流れ出た。その後、公主は二日ほどで完全に回復した。

    【AI 2】薬を2回塗布しただけで、腫れが破れて、どんぶり一杯分ほどの膿と血が流れ出し、すぐに体調が回復した。

遂酬謝補官訖,令供其方。

    【AI譯文】

于是赏赐他官职并进行酬谢完毕,让他献出那个药方。

    【AI 1】皇帝は約束通り医師に官職を与え、報酬を支払った。そして、その薬の処方を提供するよう求めた。

    【AI 2】その功績により、医師は官職を賜り、報酬も与えられた。そして皇帝からその薬の処方を提出するよう求められた。

醫者乃請罪云:某乃以針繫筆心中,遂輕輕劃破其潰散耳。

    【AI譯文】

医生于是请罪说:‘我是把针系在笔心中,然后轻轻划破那溃散的地方罢了。’

    【AI 1】すると医師は謝罪し、「実は、筆の芯に細い針を仕込み、優しく傷口を切開していただけなのです」と告白した。

    【AI 2】そこでその医師は罪を告白してこう言った。「実は筆の芯に針を仕込んでおき、それで腫れが破れる部分をそっと切開したのです。

無此方,王遂赦之。

    【AI譯文】

没有这种药方,卫王就赦免了他。

    【AI 1】特別な薬の処方は存在せず、衛王は彼を赦免した。

    【AI 2】薬の処方などというものはありません。」衛王(皇族)はこれを聞いて罪を赦した。

言醫者,意也,以意取效耳。

    【AI譯文】

说到医生(治病),靠的是意念(思考、判断),凭借意念(思考、判断)来取得疗效罢了。

    【AI 1】医師はこう語った。「医術において重要なのは技術だけではない。治療は、意念(思考と判断)によって成り立つものなのです。」

    【AI 2】医術というのは結局、意念(判断・工夫)によるものであり、治療の効果もその意念によって決まるのだ、という話である。 

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