2025年10月14日火曜日

『歷代名醫蒙求』釋音-2

 卷之下

獺(他達切)璜(音皇)妊娠(懷孕也上音壬去聲下音身)捫(摸也音門)苶(病弱貌音涅)

翊日(明日也)懵(莫孔切)青䴴(一名地節一名黄芝主理五藏益精氣本出於迷入山者見仙人服之字書無䴴字相傳音女廉切然今人無識者也魏志作黏字後漢書作䴴字)

塗心(音徒又音茶)鑱(仕衫仕懺二切)搦(女白切)湔浣(洗也上音箋下胡管切)

漱(蕩也音瘦又音嗽)臆(胷臆也音憶)璟(音影)悸(其季切)蜿蜒(上音鴛下音延龍蛇行皃蜿又音苑)

銳(以芮切)疵(才移切)匕箸(上音比匙也下與筯同)

塳(塵也音蓬)程(音汀)郗(丑飢切)蹣跚(跛行皃上音瞞下音珊)磨踵(接脚而來也踵之隴切)

殂(死也昨胡切)尿(小便也奴弔切或作溺)啜(昌悅切)

烹鮮(下音仙新魚也)餐(七安切)鰻(音瞞)徇(辝閏切)鏐(音留)抉(音决)

顱顖(上音盧頭也下音信頭㑹腦蓋也)櫛(阻瑟切梳也)洎(及也音兾) 

僅(餘也𦆵也音謹去聲)筩(竹筩音同與筒同)蠻獠(夷別名獠音老)句容(邑名句音鈎)

嬰童(女曰嬰未有室家曰童言其幼小也上於盈切)婦(房乆切)

蒭(草也說文云刈草也測隅切與芻同)踣(倒也蒲北切又音赴與仆同)

襦(短衣也音儒)蘇(本作穌死而更生也)顒(魚容切)蚘(人腹中長蟲也音回)

咏(與詠同)強(其兩切)售(賣也音授)拄(知𢈔切)俠(音挾)濮(音卜)

縊(自經死也於智切)魘(於琰於叶二切)予(音与)弱冠(男子年二十也下音貫)

朝請(請音凈)挂(与掛同)槱(音由去聲)翛(音蕭)檗(博厄切)

倜儻(不羈也上他歷切下他朗切)偘(古文侃字)尉氏(邑名上如字)

鄠(縣名胡古切)謚(音示)縚(音絛与韜同)鬒(音軫稠髮也)无枉(上音無)

瞽(無目也)縶(繫絆也陟立切)栖(音西与棲同)蘸(以物内水莊陷切)

倩(假倩也七政切)齻(音顛)抶(打也丑栗切)僑寓(寄居也客也上音喬下音遇)

廡(堂下廊音武)餉(餉饋式亮切)噫(痛傷之聲也音毉)蚺(音髯)

惋(烏貫切)購(購贖也古候切)痣(皮膚上黒子也音志)鼉(音陀)眸(目童子也音牟)

曝(日乾也音僕)䤈(与醯同)愠(怒也音醞)串(音釧)挨(推也乙諧切)

罌(瓦噐也音鶯亦作甖)攷(古文考字)倘(与儻同)  


歷代名醫蒙求釋音終

****************************************

『歷代名醫蒙求』釋音-2

  【訓み下し】

卷の下

獺(他達の切(かえし)。)

 【注釋】 ○獺:『廣韻』入聲・鎋・獺:「獺:獸名。他鎋切,又他達切」。

璜(音は皇。)

妊娠(懷孕なり。上の音は壬,去聲。下の音は身。)

捫(摸なり。音は門。)

苶(病弱の貌,音は涅。)

翊日(明くる日なり。)

懵(莫孔の切(かえし)。)

 【注釋】 ○懵:『廣韻』上聲・董・蠓:「蠓:……莫孔切。……懵:心亂皃」。

青䴴(一名は地節,一名は黄芝。五藏を主理し,精氣を益す。本(もと)迷って山に入る者,仙人の之を服するを見るより出づ。字書に「䴴」字無し。相い傳うるに,音は女廉の切(かえし)。然れども今の人識る者無きなり。『魏志』は「黏」字に作り,『後漢書』は「䴴」字に作る。)

 【注釋】 ○青䴴:『後漢書』方術列傳第七十二下/華佗:「佗授以漆葉青䴴散」。注:「佗別傳曰:青䴴者,一名地節,一名黃芝,主理五藏,益精氣,本出於迷入山者,見仙人服之,以告佗。佗以為佳,語阿,阿又秘之。近者人見阿之壽,而氣力強盛,怪之,遂責所服食,因醉亂,誤道之。法一施,人多服者,皆有大驗。」本字書無「䴴」字,相傳音女廉反,然今人無識此者,甚可恨惜。」

塗心(音は徒。又た音は茶。)

鑱(仕衫・仕懺,二つの切(かえし)。)

 【注釋】 ○鑱:『廣韻』去聲・鑑・鑱:「鑱:鑱土具。土懴切,又士銜切」。『廣韻』下平聲・銜・巉:「巉:險也。鋤銜切。……鑱:吳人云犂鐵。『說文』銳也。又士懺切」。

搦(女白の切(かえし)。)

 【注釋】 ○搦:『廣韻』入聲・陌・蹃:「蹃:踐也。女白切。……搦:……」。

湔浣(洗うなり。上の音は箋,下は胡管の切(かえし)。)

 【注釋】 ○浣:『廣韻』上聲・緩:「緩:舒也。又虜姓緩稽氏後改爲緩氏。胡管切……浣:上同」。

漱(蕩(あら)うなり。音は瘦,又た音は嗽。)

臆(胷臆なり。音は憶。)

璟(音は影。)

悸(其季の切(かえし)。)

 【注釋】 ○悸:『廣韻』去聲・至・悸:「悸:心動也。其季切」。

蜿蜒(上の音は鴛。下の音は延。龍蛇の行く皃(さま)。蜿,又た音は苑。)

 【注釋】 ○皃:「貌」の異体字。

銳(以芮の切(かえし)。)

 【注釋】 ○銳:『廣韻』去聲・祭・銳:「銳:利也。……以芮切」。

疵(才移の切(かえし)。)

 【注釋】 ○疵:『廣韻』上平聲・支・疵:「疵:黑病。疾移切」。『康熙字典』疵:「【集韻】【韻會】才支切【正韻】才資切,𠀤音玼」。

匕箸(上の音は比,匙(さじ)なり。下は筯(はし)と同じ。)

塳(塵なり。音は蓬。)

程(音は汀。)

郗(丑飢の切(かえし)。)

 【注釋】 ○郗:『廣韻』上平聲・脂・絺:「絺:細葛也。丑飢切。……郗:……」。

蹣跚(跛行する皃(さま)。上の音は瞞,下の音は珊。)

磨踵(脚を接して來たるなり。踵,之隴の切(かえし)。)

 【注釋】 ○踵:『廣韻』上平聲・腫:「腫:疾也。……之隴切。……踵:足後又繼也,趾也,頻也」。

殂(死するなり。昨胡の切(かえし)。)

 【注釋】 ○殂:『廣韻』上平聲・模・徂:「徂:往也。昨胡切。……殂:死也」。

尿(小便なり。奴弔の切(かえし)。或いは「溺」に作る。)

 【注釋】 ○尿:『廣韻』去聲・嘯・尿:「尿:小便也,或作溺。奴弔切」。

啜(昌悅の切(かえし)。)

 【注釋】 ○啜:『廣韻』去聲・祭・綴:「綴:連綴。陟衞切,又丁劣切。……啜:甞也」。『廣韻』入聲・薛・輟:「輟:止也,已也。陟劣切。……啜:言多不正」。『康熙字典』啜:「【唐韻】昌悅切。……【說文】嘗也」。

烹鮮(下の音は仙,新魚なり。)

餐(七安の切(かえし)。)

 【注釋】 ○餐:『廣韻』上平聲・寒・餐:「餐:『說文』吞也。七安切」。

鰻(音は瞞。)

徇(辝閏の切(かえし)。)

 【注釋】 ○徇:『廣韻』去聲・稕・殉:「殉:以人送死。辭閏切。……徇」。 ○辝:「辭・辞」の異体字。

鏐(音は留。)

抉(音は决。)

 【注釋】 ○决:「決」の異体字。

顱顖(上の音は盧,頭なり。下の音は信。頭の㑹,腦の蓋なり)

 【注釋】 ○顱:『廣韻』上平聲・模・盧:「盧……顱:頭顱」。 ○顖:『廣韻』去聲・震・信:「信……囟:『說文』曰:頭會腦蓋也。顖:上同」。『說文解字』囟:「頭會,匘蓋也」。 ○㑹:「會」の異体字。

櫛(阻瑟の切(かえし)。梳なり。)

 【注釋】 ○櫛:『廣韻』入聲・櫛:「櫛:梳也。阻瑟切」。

洎(及ぶなり。音は兾。)

 【注釋】 ○兾:「冀」の異体字。 

僅(餘りなり,𦆵(わずか)なり。音は謹,去聲。)

 【注釋】 ○僅:『廣韻』去聲・震・僅:「僅:餘也,纔也,劣也,少也。渠遴切」。 ○𦆵:「纔」の異体字。

筩(竹筩,音は同,筒と同じ。)

蠻獠(夷の別名。獠の音は老。)

句容(邑の名。句の音は鈎。)

嬰童(女(むすめ)を嬰と曰い,未だ室家有らざるを童と曰う。其の幼小なるを言うなり。上は於盈の切(かえし)。)

 【注釋】 ○嬰:『廣韻』下平聲・清・嬰:「嬰:『蒼頡篇』云:女曰嬰,男曰兒。又姓。『風俗通』云:晉大夫季嬰之後。於盈切」。

婦(房乆の切(かえし))

 【注釋】 ○婦:『廣韻』上聲・有・婦:「婦:『說文』曰:婦服也,从女持帚洒埽也。房久切」。 ○乆:「久」の異体字。

蒭(草なり。『說文』に云う,刈り草なり,と。測隅の切(かえし)。芻と同じ。)

 【注釋】 ○蒭:『廣韻』上平聲・虞・芻:「芻:芻豢。『說文』云:刈草也,俗作〈蒭〉。亦姓。出『何氏姓苑』。測隅切」。

踣(倒るるなり。蒲北の切(かえし)。又た音は赴。仆と同じ。)

 【注釋】 ○踣:『廣韻』入聲・德・菔:「菔:蘆菔。蒲北切。……踣:斃也,倒也,又作仆」。

襦(短き衣なり。音は儒。)

蘇(本(ほん)「穌」に作る。死して更(よみ)生(がえ)るなり。)

 【注釋】 ○本:一本。ある本。別の本。「もともとは」? ○穌:『廣韻』上平聲・模・蘇:「穌:息也,舒悅也,死而更生也」。

顒(魚容の切(かえし)。)

 【注釋】 ○顒:『廣韻』上平聲・鍾・顒:「顒:仰也。……『說文』云:大頭也。魚容切」。

蚘(人の腹中の長蟲なり。音は回。)

咏(詠と同じ。)

強(其兩の切(かえし)。)

 【注釋】 ○強:『廣韻』上聲・養・勥:「勥:追也,勉力也。其兩切。……彊:『說文』云:弓有力也。或作〈強〉。……」。

售(賣(う)るなり。音は授。)

拄(知𢈔の切(かえし)。)

 【注釋】 ○拄:『廣韻』上聲・麌・拄:「拄:拄從旁指。知𢈔切」。 ○𢈔:「庾」の異体字。

俠(音は挾。)

濮(音は卜。)

縊(自(みずか)ら經(くび)れて死するなり。於智の切(かえし)。)

 【注釋】 ○縊:『廣韻』去聲・寘・縊:「縊:自經死也。於賜切」。

魘(於琰・於叶,二つの切(かえし)。)

 【注釋】 ○魘:『廣韻』入聲・葉・魘:「魘:惡夢。於葉切,又於琰切」。 ○叶:「葉・協」の異体字。

予(音は与。)

 【注釋】 ○与:「與」の異体字。

弱冠(男子年二十なり。下の音は貫。)

朝請(請の音は凈。)

挂(掛と同じ。)

槱(音は由,去聲。)

翛(音は蕭。)

檗(博厄の切(かえし)。)

 【注釋】 ○檗:『廣韻』入聲・麥・檗:「檗:黃檗,俗作〈蘗〉。博厄切」。

倜儻(不羈なり。上は他歷の切(かえし)。下は他朗の切(かえし)。)

 【注釋】 ○倜:『廣韻』入聲・錫・逖:「逖:逺也。他歷切。……倜:倜儻不羈」。『廣韻』上聲・蕩・曭:「曭:日不明。他朗切。……儻:倜儻不羈」。

偘(古文の「侃」字。)

 【注釋】 ○古文:上古的文字。

尉氏(邑の名。上は字の如し。)

 【注釋】 ○如字:一種注音法。一個字因意義不同而有兩個或兩個以上的讀法時,依習慣上最通常的讀法稱為「讀如字」。「尉」には,現在も「wèi」と「yù」の二音あり。

鄠(縣の名。胡古の切(かえし)。)

 【注釋】 ○『廣韻』上聲・姥・戸:「戸:……侯古切。鄠:縣名。在京兆府,本夏之扈國。秦爲鄠縣也」。『說文解字』鄠:「右扶風縣名。从邑雩聲。胡古切」。

謚(音は示。)

縚(音は絛,韜と同じ。)

 【注釋】 ○縚・韜:『廣韻』下平聲・豪・饕:「饕:貪財曰饕。土刀切。……韜:藏也,寬也。縚:上同。……絛:」。

鬒(音は軫,稠髮なり。)

 【注釋】 ○鬒:『廣韻』上聲・軫:「軫:動也。……章忍切。……㐱:『說文』曰:稠髮也……。亦作鬒。鬒:上同」。

无枉(上の音は無。)

瞽(目無きなり。)

縶(繫絆するなり。陟立の切(かえし)。)

 【注釋】 ○縶:『廣韻』入聲・緝・縶:「縶:繄馬。陟立切」。 ○繫絆:約束羈絆。牽纏;拴束。

栖(音は西。棲と同じ。)

蘸(物を以て水に内(い)る。莊陷の切(かえし)。)

 【注釋】 ○蘸:『廣韻』去聲・陷・蘸:「蘸:以物内水。莊陷切」。

倩(假倩するなり。七政の切(かえし)。)

 【注釋】 ○倩:『廣韻』去聲・勁・倩:「倩:假倩也,七政切」。 ○假倩:假手於人。

齻(音は顛。)

抶(打つなり。丑栗の切(かえし)。)

 【注釋】 ○抶:『廣韻』入聲・質・抶:「抶:打也。丑栗切」。

僑寓(寄居なり,客なり。上の音は喬,下の音は遇。)

廡(堂下,廊。音は武。)

 【注釋】 ○廡:『廣韻』上聲・麌・武:「廡:堂下也」。『廣韻』下平聲・唐・郎:「廊:廡也……」。

餉(餉饋す。式亮の切(かえし)。)

 【注釋】 ○餉:『廣韻』去聲・漾・餉:「餉:餉饋。式亮切」。 ○餉饋:贈予糧食。饋贈。

噫(痛傷の聲なり。音は毉。)

蚺(音は髯。)

惋(烏貫の切(かえし)。)

 【注釋】 ○惋:『廣韻』去聲・換・惋:「惋:驚歎。烏貫切」。

購(購贖なり。古候の切(かえし)。)

 【注釋】 ○購:『廣韻』去聲・𠋫・遘:「遘:遇也。古候切。……購:購贖」。

痣(皮膚上の黒子なり。音は志。)

鼉(音は陀。)

眸(目の童子(ひとみ)なり。音は牟。)

曝(日乾なり。音は僕。)

 【注釋】 ○曝:『廣韻』入聲・屋・暴:「暴:日乾也。蒲木切。……曝:俗」。

䤈(醯と同じ。)

愠(怒るなり。音は醞。)

串(音は釧。)

挨(推すなり。乙諧の切(かえし)。)

 【注釋】 ○挨:『廣韻』上平聲・皆・𢰇:「𢰇:推也,亦背負皃。乙諧切」。/𢰇:「挨」の異体字。

罌(瓦噐なり。音は鶯。亦た「甖」に作る。)

 【注釋】 ○罌:『廣韻』下平聲・耕・甖:「甖:瓦器。烏莖切。……罌:上同。……鶯:鳥羽文也」。

攷(古文の「考」字。)

 【注釋】 ○攷:『廣韻』上聲・晧・考:「考:校也,成也,引也……苦浩切。……攷:古文」。

倘(儻と同じ。)  


『歷代名醫蒙求』釋音終わり

0 件のコメント:

コメントを投稿