元欽蛇肉 太醫獺髓 元欽は蛇の肉 太醫は獺の髓 (盧元欽・吳太醫)
朝野僉載泉州有客盧元欽染大風唯鼻
根未倒属五月五日官取蚺蛇膽欲進或
言肉可治風遂取一截蛇肉食之三五日
頓漸可百日平𠋩
【訓み下し】096-1
『朝野僉載』:泉州に客の盧元欽有り,大風に染まり,唯だ鼻根のみ未だ倒れず。屬々(たまたま)五月五日,官 蚺蛇の膽を取って進(たてまつ)らんと欲す。或いは肉は風を治す可しと言う。遂に一(ひと)截(き)れの蛇肉を取って之を食らう。三五日にして頓(とみ)に漸く可(い)え,百日にして平に復す。
【注釋】096-1
○朝野僉載:020を参照。 ○泉州:位於福建省東南。原為晉江縣的核心地區,宋、元時為全國對外貿易中心,明以後因港口淤塞而逐漸衰微。 ○客:寄旅於外的人。 ○盧元欽:内容によれば,名医ではなく,患者の名前。 ○染:感受疾病或沾上壞習慣或接觸到什麽 ○大風:即麻風。麻瘋之類的惡疾。癘風。『素問』長刺節論:「骨節重,鬚眉墮,名曰大風」。026-1も参照。 ○鼻根:鼻梁上端與額部相連處。 ○属:「屬」の異体字。方才、適才。 ○五月五日:いわゆる端午の節句で,『荊楚歲時記』などにもさまざまなことが書かれているが,蛇との関連については,下記の本草書を参照。 ○官:在政府機關擔任公職的人。 ○蚺蛇膽:蚺蛇的膽。相傳能治病止痛。/蛇膽:蟒蛇的別名。爬蟲綱有鱗目蛇亞目。一種大型蛇類,無毒,體長六公尺餘。有鱗,體黃褐色,腹白,背面有雲狀斑紋,多產於熱帶及亞熱帶地區,捕食獸類,能吞食二十至三十斤的哺乳動物。 ○進:呈獻、奉上。奉獻,送上。如:「進貢」。 ○截:量詞。計算分成數段的物品的單位。相當於「段」。割斷。如:「截斷」。 ○三五:謂十五天。約計的少數。AIは3~5日と解す。 ○頓:立刻、突然 [immediately]。 ○漸:慢慢的、逐步的。逐漸發展的過程。 ○可:病痊愈 [recover (from an illness)]。 ○平𠋩:痊愈;復原。/𠋩:「復」の異体字。
○『太平廣記』卷第二百一十八 醫一・盧元欽:泉州有客盧元欽染大風,唯鼻根未倒。屬五月五日,官取蚺蛇膽欲進,或言肉可治風,遂取一截蛇肉食之。三五日頓漸可,百日平復。(出『朝野僉載』。)
○『太平廣記』【譯文】:盧元欽客居泉州時患了麻風病,只有鼻根還未爛掉。正值五月五日,醫官拿著蚺蛇膽正要給他吃,這時有人說蛇肉可以治麻風病,於是取了一段蛇肉給他吃。吃了三五天後,病漸好轉,百日以後就完全好了。(出自『朝野僉載』。)
○『證類本草』卷二十二・蚺蛇膽:『圖經』曰:……『嶺表録異』云:雷州有養蛇戶,每歲五月五日即蟾舁蚺蛇,入官以取膽。
○『本草綱目』卷四十三・鱗之二・蚺蛇・集解:膽……頌曰︰『嶺表錄異』云︰雷州有養蛇戶,每歲五月五日即舁蛇入官,取膽暴乾,以充土貢……。
○唐・柳宗元『捕蛇者說』:永州之野產異蛇,黑質而白章,觸草木盡死。以齧人,無禦之者。然得而腊之以為餌,可以已大風、攣踠、瘺、癘,去死肌,殺三蟲。其始,太醫以王命聚之,歲賦其二,募有能捕之者,當其租入,永之人爭奔走焉。
○晉・干寶『搜神記』卷十一:顏含,宇弘都,次嫂樊氏,因疾失明,醫人疏方,須蚺蛇膽,而尋求備至,無由得之。含憂歎累時,嘗晝獨坐,忽有一青衣童子,年可十三四,持一青囊授含,含開視,乃蛇膽也。童子逡巡出戶,化成青鳥飛去。得膽,藥成,嫂病即愈。
識典古籍*******************************************************
朝野僉載:泉州有客盧元欽染大風,唯鼻根未倒,屬五月五曰,官取蚺蛇膽欲進,或言肉可治風。遂取一截蛇肉食之,三五曰頓漸,可,百曰平復。
【AI譯文】★「曰(エツ)」は「日(ジツ)」の誤った翻字であるが,AIの譯文は正しく「日」として処理している。
『朝野佥载』记载:泉州有个叫卢元钦的人染上了麻风病,只有鼻根还没有塌陷。恰逢五月五日,官府的人取来蚺蛇胆想要进献(给上司之类的情况),有人说蚺蛇肉可以治疗麻风病。于是他就取出一段蛇肉吃了下去,三五天后他的病情逐渐减轻,一百天后他就完全康复了。
【AI 1】『朝野佥载』には次のように記されています。泉州に盧元欽という人物がいたが、麻風病に罹り、鼻の付け根だけがまだ崩れていなかった。ちょうど五月五日、官府の人々が蚺蛇の胆を採取し、貢ぎ物として献上しようとしていた。その際、蚺蛇の肉が麻風病の治療に効果があると言う者がいた。そこで盧元欽は蛇肉の一片を取り出し、食べた。すると、三~五日後には病状が徐々に軽快し、百日後には完全に回復した。
【AI 2】『朝野佥载』にはこう記されている。泉州に盧元欽(ろ・げんきん)という人物がいて、彼はハンセン病(麻風病)にかかっていたが、鼻の根元だけはまだ崩れていなかった。ちょうど5月5日(端午の節句)のころ、官府の者が蚺蛇(なんだ/大型の蛇、主にニシキヘビの類)の胆を手に入れ、上司に献上しようとしていた。そこへ、「蚺蛇の肉は麻風病に効く」と言う者がいた。盧元欽はその話を聞き、蛇の肉の一部を取り出して食べてみた。すると3日から5日ほどで病状が徐々に軽くなり、100日後には完全に回復したという。
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