023 獵絡野踈渇穿井遲(支韻・平) 13 七ウラ
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獵絡野踈、渇穿井遲。
(太平廣記云、許裔宗名醫若神、人謂之曰、何不著書以貽将来、裔宗曰、醫乃意也、在人思慮、又脉候幽玄甚難別、意之所解、口莫能宣、古之名手、唯是別脉、脉既精別、然後識病、病之於藥、有正相當者、唯須用一味、直攻彼病、即立可愈、今不能別脉、莫識病源、以情億度、多安藥味、譬獵不知兎、廣絡原野、冀一人獲之、術亦踈矣、脉之深趣、既不可言、故不能著述、 太素經曰、聖人不治已病、治未病、不治已亂、治未亂、夫病已成形、而後藥之、亂成而後治之、譬猶渇而穿井、鬪而鑄兵、亦不晚乎、)
【訓み下し】
獵絡野踈、渇穿井遲。(獵(かり)して野に絡(あみ)するは疎(おろそ)か、渇(のどかわ)きて井(いど)を穿(ほ)るは遲し。)
『太平廣記』に云う、「許裔宗、名醫なること神の若(ごと)し。人 之に謂って曰わく、『何ぞ書を著わして以て將來に貽(のこ)さざる』と。裔宗曰わく、『醫は乃ち意なり。人の思慮に在り、又た脉候は幽玄にして甚だ別かち難し。意の解する所にして、口能く宣ぶること莫し。古えの名手は、唯だ是れ脉を別かつのみ。脉 既に精しく別かちて、然る後に病を識(し)る。病の藥に於いて、正に相い當たる者有り。唯だ須からく一味を用いて、直ちに彼の病を攻むべければ、即ち立ちどころに愈ゆ可し。今ま脉を別かつこと能わず、病源を識ること莫く、情を以て億度し、多く藥味に安んずるは、譬うれば獵して兎を知らず、廣く原野に絡(あみ)し、一人の之を獲るを冀(こいねが)うがごとし。術も亦た疎なり。脉の深き趣き、既に言う可からず。故に著述すること能わず』と」。
『太素經』に曰わく、「聖人は已に病めるを治せず、未だ病まざるを治す。已に亂るるを治せず、未だ亂れざるを治す。夫れ病 已に形を成して而(しか)る後に之を藥(いや)し、亂成りて而る後に之を治するは、譬うれば猶お渇して井を穿(うが)ち、鬪(たたか)いはじめて兵(かたな)を鑄(い)るがごとし。亦た晚(おそ)からずや」。
【注釋】
○獵:追捕禽獸。 ○絡:包羅。用網狀物兜住 [hold sth.in place with a net]。 ○踈:「疎」「疏」の異体字。粗心、不注意、不細密。粗糙、不精細。 ○渇穿井:【臨渴穿井】比喻事到臨頭,才想辦法解決,為時已晚。
○太平廣記云:《太平廣記》醫一・許裔宗:「許裔宗名醫若神。人謂之曰:“何不著書,以貽將來?”裔宗曰:“醫乃意也,在人思慮。又脈候幽玄,甚難別。意之所解,口莫能宣。古之名手,唯是別脈。脈既精別,然後識病。病之於藥,有正相當者。唯須用一味,直攻彼病,即立可愈。今不能別脈,莫識病源,以情億度,多安藥味。譬之於獵,不知兔處,多發人馬,空廣遮圍。或冀一人偶然逢也。以此療病,不亦疏乎。脈之深趣,既不可言,故不能著述。”(出《譚賓錄》)」。
○許裔宗:許胤宗。隋唐間の医家。宋・趙匡胤の諱により、裔宗・嗣宗・引宗とも表記される。以下の話は『舊唐書』の許胤宗傳にも見える。また一部は、許叔微(1079~1154)『普濟本事方』にも引用される。 ○貽:遺留。 ○将来、裔宗曰、醫乃意也、在人思慮、又脉候幽玄甚難別、意之所解、口莫能 ○宣:表達、說明。 ○古之名手、唯是別脉、脉既精別、 ○然後:表示接着某種動作或情況之後。 ○識病、病之於藥、有正相當者、唯須用一味、直攻彼病、即立可愈、今不能別脉、莫識病源、以情 ○億度:測度;揣測。 ○絡:包羅。用網狀物兜住 [hold sth.in place with a net]。 ○原野:平原曠野。 ○冀:希望。
○太素經曰:『黃帝內經太素』卷二・順養:「是故聖人不治已病治未病,不治已亂治未亂,此之謂也。夫病已成形而後藥之,亂成而後治之,譬猶渴而穿井,鬪而鑄兵,亦不晚乎!【楊注:身病國亂,未有豪微而行道者,古之聖人也。病亂已微而散之者,賢人之道也。病亂已成而後理之者,衆人之失也。理之無益,故以穿井鑄兵無救之灾以譬之也。】」。
○聖人:有完美品德的人,如禹、湯、文、武、周公、孔子等。對有異術的仙道、方士等的尊稱。 ○而後:然後。以後。 ○藥:治療。 用藥物救治。 ○治:管理、統理。診療。 ○渇而穿井:事前未做好準備,臨時才想法子應付。/【渴】乾涸、枯竭。口乾想喝水的感覺。/井:為汲水而挖掘的深洞。 ○鬪而鑄兵:已要戰鬪,才開始製兵器。比喩時機已失。【鑄兵】鑄造兵器。/兵:武器。《周禮.夏官.司兵》:「掌五兵五盾,各辨其物與其等,以待軍事」。漢.鄭玄.注:「鄭司農云:『五兵者:戈、殳、戟、酋矛、夷矛』」。《孟子.梁惠王上》:「填然鼓之,兵刃既接,棄甲曳兵而走」。 ○亦:已經。相當於「也」、「也是」。 ○不:【不亦】不也是。反問語氣。《論語.學而》:「學而時習之,不亦說乎?」
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