2024年2月12日月曜日

鍼灸溯洄集 18 (14)呼吸補瀉

   卷上・十オモテ(647頁)

(14)呼吸補瀉

補瀉者言呼吸出入以爲其法然補之時從衛取

氣也取者言其有素也呼尽内針静以久留以氣

  十一ウラ(648頁)

至爲故如待貴賓不知日暮共氣以來適而自護

候吸引針氣不得出各在其處推閉其門令神氣

存大氣留止故命曰補是取其氣而不令氣大出

也當瀉之時從榮置氣也置其氣而不用也故素

問曰吸則內針無令氣忤静以久留無令邪有吸

則轉針以得氣為故候呼引針呼尽乃大氣皆出

故命曰瀉瀉者是置其氣而不用也若陽氣不足

而陰血有餘者當先瀉其陰而後補其陽以此則

陰陽調和榮衛自然通于此爲針之要也有口傳


  【訓み下し】

   呼吸補瀉

補瀉は,呼吸出入,以て其の法を爲すを言う。然れども之を補う時,衛從(よ)り氣を取るなり。取とは,其の素(もと)有るを言うなり。呼盡きて針を内(い)れ,靜かにして以て久しく留(とど)めて,氣至るを以て故(こ)と爲す。貴賓を待って,日の暮るるを知らざるが如し。共*1に氣以て來たり適(したが)って自(みずか)ら護る。吸を候(ま)って針を引き,氣 出づることを得ず。各々其の處在って,其の門を推閉して,神氣をして存し,大氣 留止す。故(かるがゆえ)に命(な)づけて補と曰う。是れ其の氣を取って,氣 大いに出ださしめざるなり。瀉す當きの時,榮に從って氣を置くなり。其の氣を置いて用いざるなり。故(かるがゆえ)に『素問』に曰わく,「吸する則(とき)は針を內れ,氣をして忤(こば)ましむる無し。靜かにして以て久しく留め,邪をせしむること無し。吸有り*2,則ち針を轉ず。氣を得るを以て故(こ)と為す。呼を候(うかが)って針を引き,呼盡きて乃ち大氣皆な出づ。故に命づけて瀉と曰う」。瀉は,是れ其の氣を置き,用いず。陽氣不足して陰血有餘の若き者は,先ず其の陰を瀉す當(べ)し。而して後(の)ち其の陽を補う。此れを以て則ち陰陽調和,榮衛 自然に此れに通ず。針の要を爲す。口傳有り。


  【注釋】

  十一ウラ

 ○故:特指舊法、舊典、成例 [outmoded conventions]。同“固”。[cause;reason]。 ○*1共氣以來:『鍼經指南』真言補瀉手法・呼吸補瀉作「其氣以至」。『素問』離合真邪論(27)おなじ。 ○閉:『鍼經指南』『素問』作「闔」。 ○忤:違逆、不順從 [be disobedient to]。 ○*2無令邪有吸:「無令邪有。吸……」。『素問』作「無令邪布,吸……」。「有」は『鍼經指南』(かその引用)による。/句読:「邪をせしむること無し。吸有り*2」→「邪をして有らしむること無し。吸するときは」。 

  ◉『鍼經指南』真言補瀉手法・呼吸補瀉:「補瀉者,言呼吸出內以為其法。然補之時,從衛取氣也。取者,言其有也。『素問』曰:必先捫而循之,切而散之,推而按之,彈而弩〔一本作「努」〕之,爪而下之,通而取之。外別其門,以閉其神呼盡內針,靜以久留。以氣至為故,如待貴賓,不知日暮,其氣以至,適而自護。候吸引針,氣不得出,各在其處,推闔其門,令神氣存,大氣留止,故命曰補,是取其氣而不令氣大出也。當瀉之時,從榮置氣也,置其氣而不用也。故『素問』曰:吸則內鍼,無令氣忤,靜以久留,無令邪有。吸則轉針,以得氣為故,候呼引針,呼盡乃去,大氣皆出,故命曰瀉。瀉者,是置其氣而不用也。若陽氣不足,而陰血有餘者,當先補其陰,而後瀉其陽。陰血不足而陽氣有余者,當先補其陰,而後瀉其陽。以此則陰陽調和,榮衛自然通于〔「于」一作「此」〕此為針之要也」。

 ◉『素問』離合真邪論(27):「吸則内鍼,無令氣忤,靜以久留,無令邪布,吸則轉鍼,以得氣爲故,候呼引鍼,呼盡乃去,大氣皆出,故命曰寫。帝曰:不足者補之,柰何?歧伯曰:必先捫而循之。切而散之,推而按之,彈而怒之,抓而下之,通而取之,外引其門,以閉其神,呼盡内鍼,靜以久留,以氣至爲故,如待所貴,不知日暮,其氣以至,適而自護,候吸引鍼,氣不得出,各在其處,推闔其門,令神氣存,大氣留止,故命曰補」。

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