2024年2月23日金曜日

鍼灸溯洄集 34 卷中(1)禁鍼法

   卷中・二オモテ(679頁)

 鍼灸溯洄集卷中

(1)禁鍼法/【訓】禁鍼の法

腦户[枕骨上强間後一寸五分]。/【訓】[枕骨の上(かみ),強間の後(しりえ)一寸五分]。

 【注釋】『甲乙經』「枕」作「跳」。以下,おもに『十四經發揮』『鍼灸聚英』からの引用か。

顖會[上星後一寸陷者中]。/【訓】[上星の後(しりえ)一寸の陷者(くぼみ)の中(なか)]。

 【注釋】『甲乙經』「一寸陷者中」作「一寸骨間陷者中」。『發揮』に「者」字なし。

神庭[直鼻上入髮際五分]。/【訓】[直ちに鼻上 髮際に入る五分]。

神道[五推節下]。/【訓】[五推〔椎〕の節(ふし)の下(しも)]。

靈臺[六推節下]。/【訓】[六推〔椎〕の節(ふし)の下(しも)]。

承靈[正營後一寸五分]。/【訓】[正營の後(しりえ)一寸五分]。

絡却[通天後一寸五分]。/【訓】[通天の後(しりえ)一寸五分]。

玉枕(ぎょくしん)[枕骨上入髮際二寸]。/【訓】[枕骨(しんこつ)の上(かみ),髮際に入る二寸]。

顱顖[耳後間青絡脉中]。/【訓】[耳の後(しりえ)の間,青絡の脈の中(うち)]。

 【注釋】顱顖は,「顱息」の別名。一説に「顱息」の誤写。『鍼灸聚英』禁鍼穴歌に「禁鍼穴道要先明……顱顖……」とある。『鍼灸大全』もおなじ。『鍼灸甲乙經』卷3・耳前後凡二十穴第11:「顱息,在耳後間青絡脈……」。また卷12・小兒雜病第11「小兒癇喘不得息,顱顖主之」。『鍼灸大全』卷6・論一穴有二名:「顱顖,一名顱息」。

角孫[耳郭中間上髮際下開口有穴]。/【訓】[耳郭(にかく)の中間の上,髮際の下(しも),口を開けば穴(あな)有り]。

承泣[目下七分直瞳子陷者中]。/【訓】[目下七分,直瞳子(じきどうし)の陷者中]。

膻中[兩乳間陷者中]。/【訓】[兩乳の間,陷者中]。

鳩尾[蔽骨之端在臆前蔽骨下五分]。/【訓】[蔽骨の端(はし),臆前に蔽骨の下五分在り]。

水分[下脘下一寸臍上一寸]。/【訓】[下脘の下一寸,臍の上一寸]。

神闕[當臍中]。/【訓】[臍中に當たる]。

會陰[兩陰之間]。/【訓】[兩陰の間]。

橫骨[陰上橫骨中宛曲如仰月中央去腹中行各一寸半]。/【訓】[陰上の橫骨の中,宛曲 仰月の如く,中央 腹の中行を去る各一寸半]。

 【注釋】「仰」,『發揮』,『聚英』は「却」に作る。「仰」に作るのは,『醫學入門』。

氣衝[鼠鼷上一寸動脉應手陷]。/【訓】[鼠鼷の上一寸,動脈 手に應ず陷(くぼみ)]。

 【注釋】「陷」字のある書,未詳。

箕門[魚腹上越筋間陰股內動脉應手]。/【訓】[魚腹の上,越筋の間,陰股の內,動脈 手に應ず]。

承筋[腨腸中央陷中]。/【訓】[腨腸の中央の陷中]。

三陽絡[臂上大交脉支溝上一寸]。/【訓】[臂(ひじ)の上,大交脈支溝の上一寸]。

    卷中・二ウラ(680頁)

五里[肘上三寸行向裏大脉中央]。/【訓】[肘(うで)の上三寸,行(ゆ)いて裏に向かう大脈の中央]。

青靈[肘上三寸伸肘舉臂取之]。/【訓】[肘(うで)の上三寸,肘(うで)を伸べ,臂(ひじ)を舉げ,之を取る]。

雲門[去胸中行各六寸]。/【訓】[胸の中行を去ること各六寸]。

缺盆[肩下橫骨陷中]。/【訓】[肩下(けんか)の橫骨(おうこつ)の陷中]。

肩井[肩上陷中]。/【訓】[肩上(けんじょう)の陷中]。

孕婦合谷[手大指次指歧骨間陷中]。/【訓】[手の大指の次指歧骨(ちまたほね)の間の陷中]。

 【注釋】『鍼灸聚英』禁鍼穴歌:「孕婦不宜鍼合谷」。

三陰交[踝上三寸]。/【訓】[踝上三寸]。

石門[臍下二寸]。/【訓】[臍(へそ)の下二寸]。

鍼灸深可忌

五藏俞深刺則暈倒邪盛則非可忌然禁刺妄常

不可驗於施治可有心得矣

  【訓み下し】

鍼灸深く忌む可し。五藏の俞深く刺す則(とき)は,暈倒す。邪盛んなる則は,忌む可きにも非ず。然れども禁刺なれば,妄りに常に驗(こころ)む可からず。治を施すに於いて,心得有る可し。


  【注釋】

 ◉『鍼灸聚英』禁鍼穴歌:「禁鍼穴道要先明。腦戶顖會及神庭。絡卻玉枕角孫穴。顱顖承泣隨承靈。神道靈臺膻中忌。水分神闕並會陰。橫骨氣衝手五里。箕門承筋並青靈。更加臂上三陽絡。一十二穴不可鍼。孕婦不宜鍼合谷。三陰交內亦通論。石門鍼灸應須忌。女子終身無妊娠。外有雲門並鳩尾。缺盆客主人莫深。肩井深時人悶倒。三里急補人還平」。

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