卷上・十五オモテ(657頁)
(22)止刺痛法
針而痛者只是手粗宜以左手扶住針腰右手從
容補瀉如又痛者不可起鍼須令病人吸氣一口
隨吸將針撚活伸起一系即不痛如伸起又痛再
伸起又痛須索入針便止痛丸施針時目無外視
十五ウラ(658頁)
手如握虎心無內慕左手重而多按欲令氣散右
手輕而徐入不痛之因也
【訓み下し】
止刺痛の法
針して痛む者は,只だ是れ手の粗(あら)きなり。宜しく左の手を以て針の腰を扶け住(とど)む。右の手にて補瀉を從容し,如(も)し又た痛む者は,鍼を起こす可からず。病人をして吸氣一口せしむ須(べ)し。吸に隨(したご)うて,針を將(もつ)て撚(ひね)り活(やしな)い,一系を伸起す。即ち痛まず。如し伸起して,又た痛まば,再び伸起し,又た痛まば,索(もと)めて針を入る須(べ)し。便ち痛みを止む。丸(およ)〔凡〕そ針を施す時に,目に外を視ること無かれ。手に虎を握るが如し。心に內に慕うこと無かれ。左の手にて重くして多く按(お)し,氣をして散ぜしめんと欲す。右の手にて輕く,徐(そろそろ)入れ,痛まざるの因なり。
【注釋】
★タイトルは,分かりやすく「刺痛を止むる法」と訓みたい。
○從容:舒緩悠閒的樣子。充裕、不緊迫。謂順利,順手。動詞としては読み難い。〔宜しく左の手を以て鍼の腰を扶け住(とど)め,右手もて從容として補瀉すべし。〕 ○起:取出。 ○丸:添え仮名「オヨソ」。「凡」の誤字。
十五ウラ
◉『醫學入門』附雜病穴法:「搖而出之,外引其門,以閉其神〔注:○二,鍼痛者,只是手粗。宜以左手扶住鍼腰,右手從容補瀉。如又痛者,不可起鍼,須令病人吸氣一口,隨吸將鍼撚活,伸起一系即不痛。如伸起又痛,再伸起又痛,須索入鍼,便住痛。〕」。
◉『標幽賦』:「目無外視,手如握虎;心無內慕,如待貴人。左手重而多按,欲令氣散;右手輕而徐入,不痛之因」。
★以下,参考。
◉『素問』寶命全形論(25):「刺虛者須其實,刺實者須其虛,經氣已至,慎守勿失,深淺在志,遠近若一,如臨深淵,手如握虎,神無營於衆物」。
◉『素問』移精變氣論(13):「往古人居禽獸之閒,動作以避寒,陰居以避暑,內無眷慕之累,外無伸官之形,此恬憺之世,邪不能深入也」。
◉『素問』離合真邪論(27):「必先捫而循之,切而散之,推而按之,彈而怒之,抓而下之,通而取之,外引其門,以閉其神,呼盡內鍼,靜以久留,以氣至為故,如待所貴,不知日暮,其氣以至,適而自護,候吸引鍼,氣不得出,各在其處,推闔其門,令神氣存,大氣留止,故命曰補」。
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