2025年6月1日日曜日

『歷代名醫蒙求』021-1

陳寨換心  万福見頂  陳寨は心を換え  万福は頂を見る (陳寨・張万福)

    稽神録陳寨者泉州晉江巫也善禁祝之

    術爲人治疾多愈有漳州逆旅蘇猛其子

    病狂人莫能療乃往請陳陳曰此疾入心矣

    乃立壇於堂中至夜乃取蘇氏子劈爲兩

    片懸堂之東壁其心懸北簷下寨方在 

    堂中作法所懸之心遂爲犬食寨求之不

    得驚懼乃持刀出門而去謂其作法耳食

    頃乃持心而入內於病者之腹被髮連叱

    其腹遂合蘇氏子既寤連呼遞鋪遞鋪家

    人莫之測乃其日去家數里有驛吏手持

    官文書死於道傍初南中驛路二十里置

    一遞鋪輒遣呼以警之乃寨取驛吏之心

    而活蘇氏蘇遂愈如故

    

    【訓み下し】021-1

    『稽神錄』:陳寨なる者は,泉州晉江の巫なり。禁祝の術を善くす。人の爲(ため)に疾(やまい)を治して多く愈やす。漳州の逆旅に蘇猛有り。其の子 狂を病む。人 能く療すること莫し。乃ち往きて陳に請う。陳曰わく,「此の疾(やまい) 心に入れり」。乃ち壇を堂中に立つ。夜に至って,乃ち蘇氏の子を取って,劈(さ)いて兩片と爲し,堂の東の壁に懸け,其の心は北の簷(のき)の下に懸く。寨方(まさ)に堂中に在って法を作(な)す。懸くる所の心は,遂に犬の爲に食わる。寨 之を求むるも得ず,驚き懼れ,乃ち刀を持って門を出でて去り,其の法を作すのみと謂う。食頃にして,乃ち心を持って入る。病者の腹に內(おさ)め,髮を被(ひら)き連(しき)りに叱すれば,其の腹 遂に合(と)づ。蘇氏の子既に寤(めざ)め,「遞鋪(うまや)!,遞鋪!」と連呼す。家人 之を測ること莫し。乃ち其の日,家を去ること數里に驛吏有り。手に官文書を持ち,道の傍らに死す。初め,南中の驛路二十里に一遞鋪を置き,〔『稽神錄』:吏 符牒を持ち次を以て傳授し,前(さき)の鋪に近づかんと欲すれば,〕輒ち遣わし呼(さけ)んで以て之を警す。乃ち寨 驛吏の心を取って蘇氏を活かす。蘇 遂に愈ゆること故(もと)の如し。

    

【注釋】021-1

 ○稽神録:017-2を参照。 ○泉州:唐初置武榮州於晉江。改爲泉州。又改曰清源郡。尋復曰泉州。宋曰泉州淸源郡。故治卽今福建晉江縣。 ○晉江:晉江縣。陳南安縣地。唐析置晉江縣。在晉江之北故名。城大於省城。其形如鯉。故曰鯉城。其初嘗環植剌桐。故又名刺桐城。今屬福建廈門道。 ○巫:神鬼的代言人或是代人祈禱,求鬼神賜福、解決問題的人 [shamman;witch]。 ○善:擅長。 ○禁祝:禁咒。古代方士用符咒禁制邪祟,禳除災害的方術。/相傳以真氣、符咒等治病邪、克異物、禳災害的一種法術。  ○爲人:為別人。/爲:替、給[for;for the benefit of]。 ○漳州:唐置。初治漳浦。在今福建漳浦縣西南。卽今雲霄縣治。後移治龍溪。改爲漳浦郡。尋復曰漳州。元爲漳州路。明爲漳州府。清因之。民國廢。卽今福建龍溪縣治。 ○逆旅:旅館、客舍。 ○病狂:謂發瘋。/瘋:精神失常的、不正常的。癲狂、神經錯亂。 ○莫:沒有。不能、不可。 ○乃往請陳:『稽神錄』第三卷にはこのあと,「陳至,蘇氏子見之,戟手大罵〔相手を指さして,おおいに罵る〕」あり。 ○壇:古代用來舉行祭祀的高臺。某些宗教舉行法事的處所。 ○堂:正房、大廳。正房,高大的房子。 ○至夜:『稽神錄』にはこの前に「戒人無得竊視〔人に竊(ぬす)み視るを得ること無かれと戒む〕」あり。 ○劈:用刀斧等從縱面將物體破開。 ○簷:「檐」の異体字。屋頂邊緣突出牆壁的部分。如:「屋簷」、「房簷」。 ○作法:施展法術。術者施行法術。 ○驚懼:驚恐害怕。 ○食頃:吃一頓飯的時間。多形容時間很短。 ○內:接納、收容。通「納」。 ○腹:指動物的胸腔與骨盤之間的部位,俗稱為「肚子」。 ○被髮:謂髮不束而披散。本指披散著頭髮。【被髮佯狂】披散著頭髮,假裝成瘋狂的樣子。 ○連:接合、接續。連續,不停止 [in succession;one after another;repeatedly]。連續;多次 [continuously]。 ○叱:大聲責罵。呼喊;吆喝 [shout at]。 ○合:關閉、合攏。 ○寤:睡醒 [wake up]。 ○連呼:同じ言葉を何度も繰り返して大声で言う。 ○遞鋪:驛站。 ○家人:一家的人。 ○驛吏:職官名。管理驛站的官吏[postmaster;official in the stagehouse] 。驛站的胥吏。 ○官:國家的、政府的。 ○文書:統稱公文、契約等文件。 ○初:從前、原來。往昔;当初 [in former times,in the past;before]。 ○南中:泛指南部地方。/南中府。後魏置。見南安郡條。/南中堡:在直隸永年縣南。接邯鄲縣界。 ○驛路:驛道;大道。 ○二十里置一遞鋪:『稽神錄』には,このあと「吏持符牒以次傳授,欲近前鋪」あり。 ○輒:每、總是。 ○警:戒備。如:「警備」。 ○乃:竟、居然 [unexpectedly;actually]。却 [at the same time]。于是;就 [then;whereupon]。 ○活:生存。救助。 ○如故:像原來的一樣。跟原來一樣。

     ○『稽神錄』第三卷:陳寨者,泉州晉江巫也。善禁咒之術,為人治疾多效〔《廣記》作「愈」〕者。澶〔《廣記》作「漳」,漳上有「有」字〕州逆旅蘇猛,其子病狂,人莫能療,乃往請陳。陳至,蘇氏子見之,戟手大罵。寨曰:「此疾入心矣。」乃立壇於堂中,戒人無得竊視,至夜乃取蘇氏子劈為兩片,懸堂之東壁,其心懸北簷下。寨方在堂中作法,所懸之心遂為犬食,寨求之不得,驚懼,乃持刀宛轉於地,出門而去。主人弗知,謂其作法耳。食頃,乃持心而入,內於病者之腹,被髮連叱,其腹遂合。蘇氏子既寤〔《廣記》作「悟」〕,但連呼遞鋪遞鋪,家人莫之測。乃其日去家十〔《廣記》作「數」〕里,有驛吏手持官文書死於道傍。初,南中驛路二十里置一遞鋪,吏持符牒以次傳授,欲近前鋪,輒連呼以警之。乃寨取驛吏之心而活蘇氏,蘇遂愈如故。〔《廣記》卷二百二十〕

     ○『太平廣記』醫三・陳寨:陳寨者,泉州晉江巫也,善禁祝之術。為人治疾,多愈者。有漳州逆旅蘇猛,其子病狂。人莫能療,乃往請陳。陳至,蘇氏子見之,戟手大罵。寨曰:「此疾入心矣。」乃立壇於堂中,戒人無得竊視。至夜,乃取蘇氏子,劈為兩片,懸堂之東壁,其心懸北簷下。寨方在堂中作法,所懸之心,遂為犬食。寨求之不得,驚懼,乃持刀宛轉於地,出門而去。主人弗知,謂其作法耳。食頃,乃持心而入,內於病者之腹。被發連叱,其腹遂合。蘇氏子既悟。但連呼「遞鋪,遞鋪」。家人莫之測。乃其日去家數里,有驛吏手持官文書,死於道傍。初南中驛路,二十里置一遞鋪。驛吏持符牒,以次傳授。欲近前鋪,輒連呼以警之。乃寨取驛吏之心而活蘇氏。蘇遂愈如故。(出《稽神錄》)

     ○【太平廣記譯文】陳寨是泉州晉江一帶的巫師,擅長用真氣、符咒等治邪病。他給人治病,多數都能治好。漳州人蘇猛是一個旅店的店主。他的兒子得了瘋病,沒人能治,蘇猛就到泉州請陳寨。陳寨到了蘇家,蘇猛的兒子見了他指著他大罵。陳寨見狀說:“他這病已經進入心臟了。”於是陳寨在堂中設置法壇,告誡人不得偷看。到了夜晚,陳寨捉住蘇氏子,把他劈成兩半,懸掛在堂屋的東牆上,把他的心掛在北面房簷下。陳寨正在堂中作法,他懸掛的心被狗叼去吃了。陳寨找不到心,又驚又怕,就持刀在地上來回走了幾趟,然後出門而去。主人並不知道,以為他還在作法。過了一頓飯工作,陳寨拿著心回來,放在病人腹中。然後他披頭散髮連聲呵叱,蘇氏子被剖開的肚子就合上了。蘇氏子醒來後,口中只是連呼“遞鋪,遞鋪”。家裡人都不知道是怎麼回事。就在這天,離蘇家幾裡以外的地方,有一個驛吏手裡拿著公文,死於道傍。初南中驛路,二十里置一遞鋪。驛吏持符牒,以次傳授。欲近前鋪,輒連呼以警之。乃寨取驛吏之心而活蘇氏。蘇遂愈如故。(出《稽神錄》。)

    

識典古籍*******************************************************

《稽神錄》:陳寨者,泉州晉江巫也,善禁祝之術,爲人治疾多愈。有漳州逆旅蘇猛,其子病狂,人莫能療,乃往請陳。

    【AI譯文】

《稽神录》记载:陈寨,是泉州晋江的巫师,擅长禁咒之术,给人治病大多能治愈。有个叫苏猛的人在漳州开了家旅馆,他的儿子患了狂病,没人能治疗,于是就去请陈寨来治疗。

    【AI 1】『稽神録』には次のように記されている。陳寨は泉州晋江の巫師であり、禁咒の術に長け、人々の病を治療し、多くの患者を快癒させてきた。漳州で旅館を営む蘇猛の息子が狂病を患い、誰も治すことができなかったため、陳寨を招いて治療を依頼した。

    【AI 2】『稽神録』には次のように記されています。陳寨は泉州晋江の巫師で、呪術に長けており、人の病を治すことが多くの場合成功していた。ある日、漳州で旅館を営む蘇猛という男の息子が狂気の病を患い、誰にも治せなかったため、陳寨を招いて治療を依頼した。

陳曰:“此疾入心矣。”

    【AI譯文】

陈说:‘这个疾病已经侵入心脏了。’

    【AI 1】陳寨は「この病はすでに心臓にまで侵入している」と診断し、

    【AI 2】陳は言った:「この病はすでに心臓にまで侵入している。」

乃立壇於堂中。

    【AI譯文】

于是就在堂中设立神坛。

    【AI 1】堂内に神壇を設けた。

    【AI 2】そこで堂内に神壇を設けた。

至夜,乃取蘇氏子,劈爲兩片,懸堂之東壁,其心懸北簷下。

    【AI譯文】

到了晚上,他就将苏家的儿子抓来,劈成两半,挂在堂屋的东墙上,把他的心挂在北屋檐下。

    【AI 1】夜になると、彼は蘇家の息子を捕え、身体を二つに切り裂いて堂屋の東側の壁に吊るし、心臓を北側の屋根の軒下に掛けた。

    【AI 2】夜になると、彼は蘇家の息子を捕まえてきて、半分に割って、堂の東の壁に掛けて、彼の心を北の軒下に掛けた。

寨方在堂中作法,所懸之心遂爲犬食。

    【AI譯文】

寨主正在堂中做法,所悬挂着的心脏于是就被狗吃掉了。

    【AI 1】儀式の最中に、その心臓が犬に食べられてしまい、

    【AI 2】寨主は堂の中で作法をしていて、ぶら下がっていた心臓は犬に食べられてしまった。

寨求之不得,驚懼,乃持刀出門而去,謂其作法耳。

    【AI譯文】

陈寨没有找到她,又惊又怕,就拿着刀出门了,说这是(对方)在作法(施行法术)罢了。

    【AI 1】陳寨はそれを見失い恐怖に震え、刀を手にして外へ飛び出した。そして、「これは相手が術を施したのだ」と呟いた。

    【AI 2】陳寨は彼女を見つけることができなかったが、驚いたし怖くなったので、刀を持って出て行った。これは(相手)のやり方だ(呪術を施す.)と言った。

食頃,乃持心而入,內於病者之腹,被髮連叱,其腹遂合。

    【AI譯文】

过了一顿饭的工夫,他就捧着心进来,放进病人的肚子里,披散着头发连连呵叱,病人的肚子就合上了。

    【AI 1】その後、しばらくして陳寨は心臓を手に戻り、病人の腹部に納め、髪を振り乱しながら呪文を唱え続けた。すると腹部が閉じ、

    【AI 2】一食分ほどの時間が過ぎたころ、彼は心臓を手に持って戻ってきて、それを病人の腹の中に戻し、髪を振り乱して何度も叱りつけると、病人の腹は自然と閉じた。

蘇氏子旣寤,連呼“遞鋪,遞鋪!”

    【AI譯文】

苏家的儿子醒了以后,连连高呼“递铺,递铺!”

    【AI 1】蘇家の息子は目を覚まし、「遞舗!遞舗!」と叫び続けた。

    【AI 2】蘇家の息子は目を覚ますと、「遞鋪、遞鋪!(ていほう、ていほう!)」と繰り返し叫んだ。

家人莫之測。

    【AI譯文】

家里人都猜不出他的想法。

    【AI 1】家族はその意味を理解できなかった。

    【AI 2】家族の者たちは、彼の考えが何なのか全く分からなかった。

乃其日去家數里,有驛吏手持官文書,死於道傍。

    【AI譯文】

就在那天,他离家还有几里路的时候,有个驿站小吏手拿公文,死在了路旁。

    【AI 1】その日、息子が家を離れて数里ほど進んだとき、一人の驛站の小吏が公文を手にしながら道端で死亡しているのが発見された。

    【AI 2】その日、彼が家を離れて数里ほど進んだところで、驿站の小吏が公文を手に持ちながら道端で死んでいた。

初,南中驛路二十里置一遞鋪,輒遣呼以警之。

    【AI譯文】

当初,南中地区的驿站每二十里设置一个递铺,遇到紧急军情时就会派人骑马呼喊以警告下一个驿站。

    【AI 1】南中地域の驛站では、二十里ごとに遞舗が設けられ、軍事上の緊急事態が発生すると、馬に乗って次の驛站へ警告を伝えていた。

    【AI 2】当初、南中地区の驿站には20里ごとに递铺(郵便所)が設置され、緊急の軍事情報がある場合には、次の驿站に警告するために馬に乗った者が大声で叫ぶことがあった。

乃寨取驛吏之心而活蘇氏,蘇遂愈如故。

    【AI譯文】

于是他取来驿吏的心来敷在苏氏的伤口上,苏氏于是就像原来一样痊愈了。

    【AI 1】陳寨はその小吏の心臓を取り、蘇氏の傷口に当てると、蘇氏は元通りに回復したという。

    【AI 2】それで彼は驿吏の心臓を取り、それを苏氏の傷口に当てた。すると苏氏は元のように回復した。

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