2021年9月29日水曜日

解讀『醫家千字文註』100

 100 補瀉内討權衡外諳(覃韻・平) 37 三十二オモテ

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補瀉内討、權衡外諳。

(八十一難經曰、虗者補之、實者瀉之、不虚不實、 太素經曰、權衡、藏府隂陽二脉也、)


  【訓み下し】

補瀉内討、權衡外諳。(補瀉は内に討(たず)ね、權衡は外に諳(そら)んず。)

『八十一難經』に曰わく、「虛は之を補し、實は之を瀉す。虚せしめず實せしめず」。 

『太素經』に曰わく、「權衡とは、藏府の陰陽二脉なり」。


  【注釋】

 ○補瀉:「補寫」とも書かれる。補益與疏瀉。中醫治療上的兩個重要原則。補,主要用於治療虛症;瀉,主要用於治療實證。 ○討:索取。請求。研究。找。 ○權衡:秤量東西輕重的工具。權,秤錘;衡,秤杆。/下文の『太素』楊上善注を参照。 ○諳:熟悉、知曉。記、誦。

 ○八十一難經曰:『難經集注』六十九難曰:「經言虛者補之,實者瀉之,不實不虛,以經取之,何謂也」。

 ○虗:「虛」「虚」の異体字。 ○不虚不實:引用元の『王翰林集註黃帝八十一難經』によれば、ここで終わるのは不自然に思われる。脱文を疑うが、【訓み下し】では、ひとまずここで終わるような訓にしておいた。

★『難經集注』六十九難:「……不實不虛,以經取之,何謂也〔實ならず虛ならざるは、經を以て之を取るとは、何の謂(いい)ぞや〕」。丁德用注:「如無他邪,即當自取其經,故言以經取之也」。楊玄操注:「不實不虛,是諸藏不相乘也。春得弦多及但弦者,皆是肝藏自病也。則自於足厥陰少陽之經而補瀉焉。當經有金木水火土,隨時而取之也」。 

 ○太素經曰:『黃帝內經太素』卷十九・知湯藥:「岐伯曰:卒治權衡」。楊上善注:「卒,終也。權衡,藏府陰陽二脈也。病從内起,終須調於藏府陰陽二脈,使之知也」。

★黄龍祥『針灸名著集成』358頁:

附『針灸資生経』考略・六 引用文献考(三)素問:

これは、古人の引用の習慣だろうが、引用文が本文であろうが、注文であろうが、別人の注文であろうが、それが同一の本から引用すれば大まかに書名を注記し、経文か注文か、誰の注文かは細かに分けていない。

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