君異栽杏 阮丘種葱
神仙傳董奉字君異居廬山不田作爲人
治病亦不取錢物但使人重病得愈者爲
栽杏五株輕病得愈者栽杏一株如此數
年杏有万株鬱然成林羣蟲戯其下常
無生草有如新除也於是杏子大熟奉甞
語人曰欲買杏者不須來報之但徑自往
取之一噐榖便得一器杏甞以有榖少而
取杏多者即有虎號嘯而逐之所得者榖
救賑貧乏供給行侶歳消三百斛而所餘
猶多一旦昇天去
【訓み下し】050-1
『神仙傳』:董奉,字は君異なり。廬山に居りて,田作せず。人の爲に病を治するも,亦た錢物を取らず。但だ人の重き病の愈ゆるを得る者をして,爲に杏五株を栽(う)えしめ,輕き病の愈ゆるを得る者をして杏一株を栽えしむ。此(か)くの如くすること數年,杏 萬株有り,鬱然として林を成す。群蟲 其の下に戲れて,常に草を生ずること無く,有(あたか)も新たに除かるるが如きなり。是こに於いて杏子大いに熟す。奉嘗て人に語って曰わく,「杏を買わんと欲する者は,來たって之を報ずるを須(もち)いざれ。但だ徑(ただ)ちに自ら往きて之を取れ。一器の榖は便ち一器の杏を得」。嘗て以て榖少なくして杏を取ること多き者有り。即ち虎有って號(さけ)び嘯(うそぶ)きて之を逐(お)う。得る所の者の榖〔『三洞群仙錄』引ける『神仙傳』:「得る所の穀」〕は貧乏を救い賑(ほどこ)し,行侶に供(そな)え給(あた)う。歲に三百斛を消(ついや)す。而れども餘る所猶お多し。一旦 天に昇って去る。
【注釋】050-1
○葱:「蔥」の異体字。
○神仙傳:009,027を参照。 ○董奉:027にも見える。 ○廬山:山名。位於江西省九江市南。三面臨水,西臨陸地,萬壑千巖,煙雲瀰漫。中有白鹿洞、墨池、玉淵等名勝,西北有牯嶺,為避暑勝地。相傳周武王時,有匡俗兄弟七人結廬此山,後登仙而去,徒留空廬而得名;一說以廬江得名。也稱為「廬阜」、「匡盧」、「匡山」。 ○田作:耕作。 ○錢物:錢財貨物。 ○万:「萬」の異体字。 ○鬱:茂盛的樣子。 ○羣:「群」の異体字。眾多。群集、成群。 ○蟲:古代對動物的通稱。如老虎稱為「大蟲」,蛇稱為「長蟲」。『爾雅』釋蟲:「有足謂之蟲,無足謂之豸」。『集韻』東韻:「蟲,李陽冰曰:裸毛羽鱗介之總稱」。 ○戯:「戲」の異体字。 ○有如:猶如,好像。好比。 ○除:去掉。如:「剷除」、「掃除」。 ○甞:「嘗」の異体字。表示動作行為已經發生,相當於「曾」、「曾經」 [have already]。 ○不須:不用;不必。不要。 ○徑:直接。通「逕」。 ○噐:「器」の異体字。 ○號:大叫。拖長聲音大聲呼叫。 ○嘯:動物拉長聲叫。鳥類野獸長聲鳴叫。如:「虎嘯」。 ○逐:追趕。如:「追逐」。追求、追尋。 ○所得者榖:『三洞群仙錄』引ける『神仙傳』作「所得之穀」。 ○救賑:救濟、供給。 ○貧乏:貧窮匱乏。窮困,貧困。貧民。 ○供給:提供、給予。以物資、錢財等給人而供其所需。 ○行侶:行路時的伴侶。『神仙傳』作「行旅」。=旅客。 ○歳:「歲」の異体字。 ○消:耗損、耗費。如:「消費」。 ○斛:量詞。古代計算容量的單位。十斗為一斛,後改作五斗為一斛。『說文解字』:「斛,十斗也。」 ○一旦:有朝一日。忽然有一天。 ○昇天:升天。上升於天界。道教謂修道仙去。道教指得道飛昇登天。
○『三洞群仙錄』卷4・董奉食粟・曼倩偷桃:「『神仙傳』:董奉,字君異,候官人也。居廬山,不田作。為人治病,亦不取錢物。但使人重病得愈者,為栽杏五株,輕病得愈者,載杏一株。如此數年,杏有萬株,鬱然成林。羣蟲戲其下,常無生草,有如耘除也。於是杏子大熟,奉嘗語人曰:「欲買杏者,不須來報之。但徑自往取之,一器穀便得一器杏」。嘗有穀往少而多取杏者,卽有虎號嘯而逐之。所得之穀救賑貧乏,供給行旅,歳消三百斛,而所餘猶多。一旦昇天去」。
○『神仙傳』卷10/卷6・董奉:「董奉者,字君異,侯官縣人也。……君異後還廬山下居……又君異居山間,為人治病,不取錢物,使人重病愈者,使栽杏五株,輕者一株,如此數年,計得十萬余株,鬱然成林,而山中百蟲群獸,遊戲杏下,竟不生草,有如耘治也,於是杏子大熟,君異於杏林下作簞倉,語時人曰:欲買杏者,不須來報,徑自取之。得將穀一器置倉中,即自往取一器杏云。每有一穀少而取杏多者,即有三四頭虎噬逐之,此人怖懼而走,杏即傾覆,虎乃還去,到家量杏,一如穀少。又有人空往偷杏,虎逐之到其家,乃噛之至死,家人知是偷杏,遂送杏還,叩頭謝過,死者即活。自是已後,買杏者皆於林中自平量之,不敢有欺者。君異以其所得糧穀賑救貧窮,供給行旅〔一作「供給行旅不逮者」〕,歲消三千斛,尚余甚多。……君異在民間僅百年,乃昇天,其顏色如年三十時人也。」
識典古籍*******************************************************
神仙傳:董奉,字君異,居廬山,不田作,爲人治病,亦不取錢物,但使人重病得愈者,爲栽杏五株,輕病得愈者,栽杏一株。
【AI譯文】
『神仙传』记载:董奉,字君异,居住在庐山,不从事耕种劳作,给人治病,也不收取钱财物品,只是让那些重病得以痊愈的人,为他栽种五株杏树,轻症得以痊愈的人,栽种一株杏树。
【AI 1】『神仙伝』には次のように記されています。董奉(とうほう)、字は君異(くんい)。彼は廬山(ろざん)に住み、農作業を一切行わず、人々の病を治していた。しかし、治療の報酬として金銭や物品を受け取ることはなく、重病から回復した者には五株の杏(あんず)の木を植えさせ、軽い病気が治った者には一本の杏の木を植えさせた。
【AI 2】『神仙伝(しんせんでん)』にはこう記されている:董奉(とうほう)、字は君異(くんい)、廬山(ろざん)に住んでおり、耕作や労働には従事せず、人々の病を治していた。しかし金銭や物品は一切受け取らず、重い病が治った者には杏の木を5本、軽い病が治った者には1本植えさせるだけだった。
如此數年,杏有万株,鬱然成林,群蟲戲其下,常無生草,有如新除也。
【AI譯文】
就这样过了几年,种的杏树有万株,长得很茂盛,形成了一片树林,各种虫类在树下嬉戏,树下一直不长草,就像刚刚锄过一样。
【AI 1】数年が経つと、杏の木は一万本にもなり、繁茂して美しい森を形成した。木の下ではさまざまな昆虫が戯れ、草は生えず、まるで絶えず耕された土地のようであった。
【AI 2】こうして数年が過ぎるうちに、植えられた杏の木は1万本にもなり、茂りに茂って一面の森となった。さまざまな虫がその木の下ではしゃぎ、草一本すら生えず、まるで常に草を刈った後のようにきれいだった。
於是杏子大熟。
【AI譯文】
于是杏子大量成熟。
【AI 1】そして、杏の実が豊かに実るようになった。
【AI 2】やがて杏の実が大量に実った。
奉嘗語人曰:欲買杏者,不須來報之,但徑自往取之,一器榖,便得一器杏。
【AI譯文】
董奉曾经对人说:‘想要买杏的人,不需要来报告我,只管直接去摘取,一容器的谷子,就可以换得一容器的杏子。’
【AI 1】董奉は人々に言った。「杏を買いたい者は、私に知らせる必要はない。ただ容器一杯の穀物を持ってきて、それと同じ量の杏を採ればよい。」
【AI 2】董奉は人々にこう言った:「杏が欲しい人は、わざわざ私に知らせる必要はない。好きなだけ摘んでよい。ただし、1容器の谷(こくもつ)と引き換えに、1容器の杏を取るように。」
嘗以有榖少而取杏多者,即有虎號嘯而逐之。
【AI譯文】
曾经有一个拿的谷子少而摘取杏子多的人,马上就有老虎吼叫着追赶他。
【AI 1】しかし、ある者が少量の穀物で大量の杏を摘み取ったところ、突然虎が吠えながら追いかけてきた。
【AI 2】あるとき、持参した谷が少ないのに、杏を多く摘もうとした者がいた。するとすぐに虎が吠えながら彼を追いかけてきたという。
所得者榖,救賑貧乏,供給行侶,歲消三百斛,而所餘猶多,一旦昇天去。
【AI譯文】
他收获的谷物,用来救济贫穷困乏之人,供给过往的行旅之人,每年消耗三百斛,但剩下的仍然很多,(他)有一天就升天成仙离开了。
【AI 1】董奉は収穫した穀物を貧しい人々の救済や旅人への施しとして使い、毎年三百斛(こく)を消費したが、それでも余るほどであった。そしてある日、董奉は天へ昇り、仙人となり、この世を去った。
【AI 2】董奉は収穫した穀物を、貧しく困窮した人々の救済や、旅人への施しに用いた。毎年300斛(こく)もの穀物を消費していたが、それでもなお余りがあった。そしてある日、董奉は天に昇って仙人となり、この世を去った。
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