2025年5月1日木曜日

『歷代名醫蒙求』005-2

     史記扁鵲傳長桑君過扁鵲獨竒之常謹

    遇之長桑君亦知扁鵲非常人也出入十

    數年乃呼扁鵲私坐閒與語曰我有禁方

    年老欲傳與公公毋𣳘扁鵲曰敬諾乃出

    其懷中藥予扁鵲飲是以上池之水三十

    日當知物矣乃悉取其禁方書盡與扁鵲

    忽然不見殆非人也扁鵲以其言飲藥三

    十日視見垣一方人(方猶邊也言能隔墻見彼邊之人則服通

    神也)以此視病盡見五藏癥結特以診脉爲

    名耳

    

    【訓み下し】005-2

    『史記』扁鵲傳:長桑君過(よぎ)る。扁鵲獨り之を奇とし,常に謹んで之を遇す。長桑君も亦た扁鵲の常人に非ざるを知るなり。出入すること十數年,乃ち扁鵲を呼び,私(ひそ)かに坐して,間(ひそ)かに與(とも)に語って曰わく,「我に禁方有り。年老い公に傳え與えんと欲す。公 泄らすこと毋かれ」。扁鵲曰わく,「敬(つつし)んで諾す」。乃ち其の懷中より藥を出だして扁鵲に予う。「是れを飲むに上池の水を以てすること三十日,當に物を知るべし」。乃ち悉く其の禁方の書を取り,盡く扁鵲に與う。忽然として見えず。殆ど人に非ざるなり。扁鵲 其の言を以て藥を飲むこと三十日,視れば垣の一方の人を見る(方は猶お邊のごときなり。能く墻を隔てて彼邊の人を見る,則ち服して神に通ずるを言うなり)。此れを以て病を視れば,盡く五藏の癥結を見るも,特(た)だ脉を診るを以て名と爲すのみ。

    

  【注釋】005-2

 ○史記:003-1を参照。 ○扁鵲:扁鵲(公元前5世紀),戰國時期醫學家。中醫早期脈診的倡導者。名秦越人。渤海郡鄚;(今河北任丘)人。相傳扁鵲為遠古時的名醫之號,因秦越人精於醫術,故人亦稱其為扁鵲。年輕時從長桑君學醫,盡得其傳。他善於診斷,尤精於望診和脈診。史載他以望診判斷齊桓侯的病症,由淺入深,並預言其預後不佳。齊侯因拒絕接受診治,其病果然不起。扁鵲又曾準確地診斷虢國太子的「屍厥」證(假死),並用針熨諸法救治而愈。司馬遷《史記.扁鵲倉公列傳》中稱:「今天下言脈者,由扁鵲也」,並盛讚扁鵲醫德高尚。扁鵲有「六不治」的名言,其中「信巫不信醫」、「驕姿不論於理」、「輕身重財」者不治,至今仍有現實意義。又據載,扁鵲當時曾遊走各國,並隨俗而變,或為帶下醫(婦科醫),或為小兒醫,或為耳目痹醫;醫術高明,既能施針砭,又能用湯熨。據傳《難經》為其所作,其內容以討論脈診為主。 ○長桑君:戰國時醫學家。生平履貫未詳,精於醫道,集有醫書醫方甚多,名醫扁鵲曾從其學醫,盡得其傳,遂成古代名醫。【索隱】隱者,蓋神人。 ○過:經、歷。拜訪。 ○竒:「奇」の異体字。特別、不尋常。驚異、視為特殊。非凡;佳;妙 [outstanding;fine]。 ○常人:尋常的人,一般人。  ○閒:「間」の異体字。私下的、偷偷的、不公開的。 ○禁方:珍秘的藥方或其他配方。祕密的醫方。 ○𣳘:「泄」の異体字。透露、露出。如:「泄露」、「泄密」。 ○敬諾:恭謹應答之詞。猶言遵命。遵命,敬表同意。 ○上池之水:指凌空承取或取之於竹木上的雨露。後用以名佳水。司馬貞【索隱】:「案:舊說云上池水謂水未至地,蓋承取露及竹木上水,取之以和藥」。 ○三十日當知物:【索隱】:「服之三十日,當見鬼物也」。 ○方猶邊也言能隔墻見彼邊之人則服通神也:ここまで『史記索隱』の注。一本「服」作「眼」。『影宋本扁鵲倉公傳攷遺異』は,「服」は「訛(あやまり)」という。 ○五藏癥結:張守節【正義】:「五藏謂心、肺、脾、肝、腎也。六府謂大小腸、胃、膽、膀胱、三焦也。王叔和『脈經』云:「左手脈橫,癥在左;右手脈橫,癥在右。脈,頭大者在上,頭小者在下。兩手脈,結上部者濡,結中部者緩,結三里者豆起。陽邪來見浮洪,陰邪來見沈細,水穀來見堅實」。/癥結:泛指病邪所積聚之處。 ○特:只、但。 ○診脉:【索隱】:司馬彪云:「診,占也。」 

     ○『史記』扁鵲倉公列傳:舍客長桑君過,扁鵲獨奇之,常謹遇之。長桑君亦知扁鵲非常人也。出入十餘年,乃呼扁鵲私坐,閒與語曰:「我有禁方,年老,欲傳與公,公毋泄。」扁鵲曰:「敬諾。」乃出其懷中藥予扁鵲:「飲是以上池之水,三十日當知物矣。」乃悉取其禁方書盡與扁鵲。忽然不見,殆非人也。扁鵲以其言飲藥三十日,視見垣一方人〔【索隱】方猶邊也。言能隔牆見彼邊之人,則眼通神也。〕。以此視病,盡見五藏癥結,特以診脈為名耳。

    

識典古籍*******************************************************

    《史記扁鵲傳》:長桑君過,扁鵲獨奇之,常謹遇之。長桑君亦知扁鵲非常人也,出入十數年,乃呼扁鵲私坐,閒與語曰:“我有禁方,年老,欲傳與公,公毋泄。”

    【AI譯文】

    《史记·扁鹊传》记载:长桑君到来,只有扁鹊认为他奇特不凡,常常恭敬地接待他。长桑君也知道扁鹊不是平常人,来来去去十多年,才招呼扁鹊私下坐谈,悄悄地对扁鹊说:‘我有秘方,我年纪老了,想传给您,您不要泄露出去。’

    【AI 1】『史記・扁鵲伝』によると、長桑君が現れたとき、扁鵲だけが彼を並外れた人物と見なし、いつも敬意をもって迎えた。長桑君もまた、扁鵲がただの凡人ではないことを知っており、十年以上にわたり行き来を繰り返した後、ようやく扁鵲を密かに呼び寄せ、静かに語りかけた――「私は秘伝の治療法を持っている。もう年老いてきたので、あなたにそれを伝えたい。ただし、決して外には漏らしてはならない。」

    【AI 2】『史記・扁鵲伝』にはこう記されています。長桑君がやって来たとき、ただ一人扁鵲だけが彼のことを尋常ではない人物だと見抜き、いつも丁重にもてなしていた。長桑君もまた、扁鵲が普通の人間ではないと感じており、十数年にわたって行き来した後、ようやく扁鵲を呼び寄せて密かに語り合い、静かにこう言った。「私は秘伝の薬方を持っているが、もう年老いたので、あなたに伝えたい。ただし、他人には漏らさないでくれ。」

    扁鵲曰:“敬諾。”

    【AI譯文】

    扁鹊说:“我一定不泄露出去。”

    【AI 1】扁鵲は「私は必ず漏らしません」と誓いました。

    【AI 2】扁鵲は言った:「決して他言いたしません。」

    乃出其懷中藥予扁鵲:“飲是以上池之水,三十日,當知物矣。”

    【AI譯文】

    于是长桑君从怀中取出一包药交给扁鹊,说:“用未落地的雨水或者露水服用,三十天后你就知道了。”

    【AI 1】そこで、長桑君は懐から一包の薬を取り出し、扁鵲に渡しました。そして静かに言いました――「まだ地面に落ちていない雨水、あるいは朝露とともに服用しなさい。三十日後には、その意味が分かるだろう。」

    【AI 2】すると長桑君は懐から一包みの薬を取り出して扁鵲に渡し、「まだ地に落ちていない雨水か露と一緒に服用しなさい。三十日後には効果がわかるだろう」と言った。

    乃悉取其禁方書盡與扁鵲,忽然不見,殆非人也。

    【AI譯文】

    于是(长桑君)把自己所拥有的秘方书籍全部拿出来给了扁鹊,(之后)忽然间(长桑君)就不见了,(长桑君)大概不是凡人吧。

    【AI 1】そこで、長桑君は自らの秘伝の書をすべて扁鵲に渡しました。そして、その後突然姿を消してしまいました――まるで人ならざる存在のように。

    【AI 2】そこで長桑君は、自分が持っていた秘伝の書をすべて扁鵲に渡し、その後、突然姿を消してしまった。おそらく長桑君は、凡人ではなかったのだろう。

    扁鵲以其言飲藥三十日,視見垣一方人以此視病,盡見五藏癥結,特以診脉爲名耳。

    【AI譯文】

    扁鹊按照他的话服用了三十天的药,能隔着墙看见另一边的人,用这种方法看病,能把五脏六腑的病症都看得一清二楚,但他只是用诊脉的名义而已。

    【AI 1】扁鵲は長桑君の指示通り三十日間薬を服用した結果、壁の向こう側にいる人まで見通せるようになりました。彼はこの能力を活用して診察を行い、患者の五臓六腑の病状を鮮明に見抜くことができたのです。ただし、彼はその能力を隠し、「脈診」として世間に知らしめることにしました。

    【AI 2】扁鵲は長桑君の言葉どおりに三十日間薬を服用したところ、壁越しに向こう側の人が見えるようになった。この方法を用いて診察すれば、五臓六腑の病状までもがはっきりと見えるようになったが、彼はあくまで脈診という名目でこれを行っていた。

★識典古籍は,割注を省いている。


0 件のコメント:

コメントを投稿