山叟辨蛟 王隱議鱉 山叟は蛟を辨じ 王隱は鱉を議す (山叟・奴主・王〔懷〕隱)
名醫録古有患者飲食如故發則如癲靣
色青黃小腹脹滿狀如妖婦醫𧧂其脉與
證皆異而難明主療忽日有一山叟曰聞開
皇六年灞橋有人患此病蓋因三月八日邊
水食芹菜得之有識者曰此蛟龍病也爲
龍遊於芹菜上不幸食之而病也送以寒
食餳每劑五合服之數劑吐出一物雖小
但似蛟龍狀而有兩頭其病者依而治之
亦得効也
【訓み下し】064-1
『名醫錄』:古(いにしえ)に患者有り。飲食 故(もと)の如し。發すれば則ち癲の如し。面色 青黃ばみ,小腹 脹滿し,狀 妖【妊】婦の如し。醫 診るに,其の脉 證と皆な異なって,主療 明らめ難し。忽日〔『醫說』に「日」なし〕 一山叟有り,曰わく,「聞くならく,開皇六年,灞橋に人有り,此の病を患う。蓋し三月八日,邊水に芹菜を食らうに因って之を得たり」。識有る者曰わく,「此れ蛟龍の病なり。龍 芹菜の上に遊ぶが爲に,不幸にして之を食らって病むなり。送るに寒食餳を以てし,每劑五合,之を服(の)むこと數劑,一物を吐き出だす。小と雖も,但だ蛟龍の狀に似て兩頭有り」。其の病む者依って之を治して,亦た効を得るなり。
【注釋】064-1
○名醫録:008-1を参照。 ○飲食:吃喝。食物、飲料之類的東西。 ○如故:跟原來一樣。像原來的一樣。 ○癲:形容精神錯亂、言行失常。 ○靣色:臉色。臉上的氣色。/靣:「面」の異体字。 ○青黃:青色與黃色。綠色的新秧與黃熟的舊穀。指黃中帶青。形容不健康的臉色。 ○小腹:人體肚臍以下,大腿以上的部位。 ○脹滿:中醫病名。飽滿發脹。 ○妖婦:『醫說』作「妊孕」。/妖:嫵媚、豔麗。裝束奇怪、儀態不莊重。違反自然常理的事物或現象。傳說中奇怪反常而能害人的東西,多具有法術,能作各種變化。 ○𧧂:「診」の異体字。 ○主:事物的根本。掌管、統治。主治、主治範圍。 ○療:醫治。解除、解救。 ○忽:突然。 ○日:『醫說』になし。 ○山叟:住在山中的老翁。 ○開皇六年:586年。/開皇(元年:581年二月—末年:600年十二月),是隋朝隋文帝楊堅的第一個年號,歷時20年。 ○灞橋:霸橋。亦作灞橋。在陝西長安縣東二十五里。〔水經注〕霸水又北逕枳道。水上有橋。謂之霸橋。〔雍録〕「隋時更以石爲之。唐人以送別者多於此。因亦謂之銷魂橋。」唐時嘗改爲南北二橋。自唐至今。屢經修建。 ○芹菜:蔬菜名。一年生或兩年生草本植物,莖直立,羽狀複葉,花白色,果實扁圓形。莖、葉可食。 ○有識:有見識。具有真知、灼見。指成年或能曉事之年。 ○蛟龍:傳說中能發洪水、興風作浪的龍。 ○不幸:不幸運,倒霉。表示不希望發生而竟然發生。 ○送:贈給。 ○寒食:吃冷的食物。節日名。在清明前一日或二日。相傳春秋時晉文公負其功臣介之推。/每年冬至後一百零五日,約在清明節前一、二日。晉文公時為求介之推出仕而焚林,之推抱木而死,全國哀悼,於是乃定是日禁火寒食。 ○餳:麥芽糖。 ○効:「效」の異体字。
○『醫說』卷七・奇疾・蛟龍病:「古有患者,飲食如故,發則如癲,面色青黃,小腹脹滿,狀如妊孕。醫者診其脈,與症皆異,而難明主療。忽有一山叟,曰:聞開皇六年,灞橋有人,患此病。蓋因三月八日,邊水食芹菜得之。有識者曰:此蛟龍病也。為龍游於芹菜之上,不幸食之而病也。遂以寒食餳,每劑五合,服之數劑,吐出一物,雖小,但似蛟龍狀,而有兩頭。其病者依而治之,獲愈(『名醫錄』)」。
識典古籍*******************************************************
名醫錄:古有患者,飲食如故,發則如癲,面色青黃,小腹脹滿,狀如妖婦。
【AI譯文】
『名医录』记载:古代有一个病人,饮食跟平时一样,但发病的时候就像癫病,面色青黄,小腹胀满,样子像个妖妇。
【AI 1】『名医録』によると、古代にある病人がいた。彼の食事は普段と変わらなかったが、発病すると癲癇のような症状を示し、顔色は青黄色に変わり、下腹部が膨満し、その姿はまるで妖婦のようだった。
【AI 2】『名医録』にはこう記されている:古代、ある患者がいて、食事は普段通りに摂っていたが、発病すると癲病(てんびょう:てんかん)に似た状態になり、顔色は青黄色、小腹が張って膨らみ、まるで妖婦のような様子だった。
醫診其脉,與證皆異,而難明主療。
【AI譯文】
医生诊断他的脉象,和症状都不一样,难以确定主要的治疗方法。
【AI 1】医師が脈を診断したものの、症状と一致せず、適切な治療法を決めるのが困難だった。
【AI 2】医者が脈を診ても、症状と一致せず、治療の方針を定めるのが困難であった。
忽日,有一山叟曰:聞開皇六年,灞橋有人患此病,蓋因三月八日邊水食芹菜得之。
【AI譯文】
有一天,有个山中的老人说:“听说开皇六年的时候,灞桥有人患了这种病,大概是因为三月八日在水边吃了芹菜才得的。”
【AI 1】ある日、山の老人がこう語った。「開皇六年の頃、灞橋で同じ病を患った者がいた。どうやら三月八日に水辺でセロリを食べたことが原因のようだ。」
【AI 2】ある日、山中の老人がこう言った。「開皇6年のころ、灞橋で同じような病を患った者がいて、たぶん3月8日に川辺でセリを食べたことが原因だったらしい。」
有識者曰:此蛟龍病也,爲龍遊於芹菜上,不幸食之而病也,送以寒食餳,每劑五合,服之數劑,吐出一物,雖小,但似蛟龍狀,而有兩頭。
【AI譯文】
有见识的人说:“这是蛟龙生病了,蛟龙在芹菜上面游动,不幸被人吃了,所以生病。用寒食节的饧糖给他服用,每剂五合,服了几剂之后,他吐出一个东西,虽然小,但像蛟龙的形状,而且有两个头。”
【AI 1】知識のある者は言った。「これは蛟竜の病だ。蛟竜がセロリの上を泳いでいたところ、偶然それを人が食べてしまったため発病したのだ。」そこで、寒食節の飴糖を五合ずつ服用させると、数回服用後、患者は何かを吐き出した。それは小さいながらも蛟竜の形をしており、しかも頭が二つあった。
【AI 2】見識のある人が言った。「これは蛟龍(こうりゅう:伝説上の小さな龍)が病気になったものだ。蛟龍がセリの上を這っていたのを、運悪く人が食べてしまったために病気になったのだ。」「寒食節(かんしょくせつ)のときに作る飴(饧糖)を薬として服用させ、1回に5合を数回飲ませるとよい。」そうすると患者はある物体を吐き出した。それは小さいながらも蛟龍の形をしており、頭が二つあった。
其病者依而治之,亦得效也。
【AI譯文】
那些患病的人按照这个方法来治疗,也能获得疗效。
【AI 1】病人はこの治療法を用いることで、快方に向かったという。
【AI 2】この方法で治療した他の患者たちも、効果を得ることができたという。
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